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モノづくりインタビュー

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なぜイタリアのモノづくりは、色っぽくて魅力的? 彼らの美意識が生み出すものとは? そこから生み出される、ホンモノの力とは? 考えてもわからないことは、本人たちに聞いてみよう! …
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#職人

路面店のない、ハンドメイドの鞄店。n.4

今回のインタビューは、フィレンツェ中心街にある『Cellerini チェッレリーニ』です。 1960年から同じ場所に工房とショールームを構え革製品の商品を作っている、フィレンツェの老舗店です。 今回は、チェッレリーニのインタンビュー最終回です。 ******** * イザベッラさん イザベッラさんは工房に入り今年で4年目。 学校を卒業後、なにをしていいのかわからない。 自分が将来なにをしたいのかもわからない。 それでこの工房に入りました。 お店の接客をしていて、

路面店のない、ハンドメイドの鞄店。n.3

今回のインタビューは、フィレンツェ中心街にある『Cellerini チェッレリーニ』です。 1960年から同じ場所に工房とショールームを構え革製品の商品を作っている、フィレンツェの老舗店です。 第2回目はお店や販売のことなどを伺いましたが、第3回目は工房でのお仕事や想いについて、職人アントネッラさんに伺います。 ******** Q. クラシックな形が多いですが、新しいデザインもされますか? 壁に掛けられているのは、1960年から現在までの型紙です。 番号が振って

糸杉に響く、とんからり。若き機織り職人の物語 - n.3

Ozio Piccolo Studio Tessile シモーネのトレードマークである、大きな耳ピアス。腕にあるタトゥー。高校を中退して、アウサイダー的な生き方をしてきて、いまがあるシモーネ。 履歴書だけで判断したら、彼の本来の姿とはまったく異なるイメージを想像するかもしれません。履歴書の代わりに、彼の織った生地に触れれば、彼の繊細な感受性を感じ取れるかもしれません。 アトリエに置かれている、ひとつひとつのオブジェや、イタリア中から探したアンティック家具も、彼の感性を表

糸杉に響く、とんからり。若き機織り職人の物語 - n.2

Ozio Piccolo Studio Tessile フィレンツェを州都とするトスカーナ州には、なだらかな丘陵に、葡萄畑やオリーブ畑が広がり、ところどころに、中世時代の雰囲気を残す、石積みで建てられた美しい村が点在します。 今回お話を伺ってる、シモーネさんの、小さな織物スタジオ「オツィオ Ozio」は、そんな自然に囲まれた中世時代の建物にあります。ずっと昔は、牛や馬を飼っていた牛舎でした。餌を食べる場所などが、そのまま残されていて、それが素敵なインテリアになっています。

糸杉に響く、とんからり。若き機織り職人の物語 - n.1

Ozio Piccolo Studio Tessile シモーネ・ファッリ。1988年生まれ。 職業、機織り師。 彼の活動の拠点は、 自然に囲まれたトスカーナ地方の一角。 Ozio Piccolo Studio Tessile 小さな織物スタジオ「オツィオ Ozio」が 彼のアトリエです。 彼の作品と初めて出会ったのは、21年のAritiginato e Palazzo。柔らそうな布の感触や、優しい風合いに目を奪われたのを覚えています。その後も、展示会や、青空市場で

「ここ」から「未来」へ。 ゾウガニスタ 望月さんの物語。 - n.4(最終回)

フィレンツェで唯一、木象嵌細工を専門とする職人、望月貴文(Takafumi Mochizuki)さんにお話しを伺っています。今回は最終回です。 前回に望月さんが「昔からのスタイルで、新しいものを創る」と話されていましたが、イタリアで木象嵌は1300年代から教会の装飾として使われるようになります。現代の望月さんが製作するのとまったく同じ材料と工程です。 トスカーナの南に位置するモンテオリベートマッジョーレ修道院の教会。1300年初期に建立され、いまも毎日ミサがあげられます。

中世からのスタイルで、新しいものを創る。ゾウガニスタ 望月さんの物語。 - n.3

フィレンツェで唯一、木象嵌細工を専門とする職人、望月貴文(Takafumi Mochizuki)さんにお話しを伺っています。今回は第3回目です。 過去から現在に時間は移り、「いま」の望月さんが想う木象嵌とは? 望月さんの「絶対に失敗しない」というコンセプトが、あるとないとでは、仕事に向かう気持ちは変わりますか?日本の風潮なのか分からないですが、「失敗を怖がるな」ってあるじゃないですか。 もちろんそうなんですけど、自分がものを作っていて、自分の扱っているものって、アンティ

職人であり、職人に憧れる。ゾウガニスタ 望月さんの物語。 - n.2

フィレンツェで唯一、木象嵌細工を専門とする職人、望月貴文(Takafumi Mochizuki)さんにお話しを伺っています。今回は第2回目です。 短期留学の予定だったフィレンツェ滞在。が、予定は未定。 運命的な師匠との出会い。さらには、彼の運命を決定づける木象嵌の存在。 共同で家具の修復を行う間に、師弟関係は、少しづつ二人三脚の体を成して来たことでしょう。 日本に帰るべきか、帰らざるべきか。 目的を見つけてしまった人が、必ず通る関所です。 さあ、どうする望月さん!

サーファー、営業、そして職人。ゾウガニスタ 望月さんの物語。 - n.1

まずは、こちらをご覧ください。 木の色と肌の風合いを活かし、組み合わせ、製作された、木の調和が響く作品。 木象嵌(もくぞうがん)という技術で製作されています。 イタリアでは1300年代に用いられ始め、ルネッサンス時代の1400年代には、遠近法を用いた図案で飛躍的に技術が進歩します。 そしていま。 機械という文明の利器で、あっという間に木を切れますが、そんな時勢に逆流するかのように、糸鋸を手に、ひとふり、ひとふり、木を切り、自身のデザインを手がけるひとりの職人がいます

香りの工房。n.3*香りの治療師*

香りの工房のつづきです。マリア・レティツイアさんが、どのように香りに近づくようになったのか、過去から現在、そして未来へと続くお話を伺います。今回は前半です。 前回までは、こちらからご覧ください。 もとから、香りの世界に携わっていたのでしょうか。いいえ。わたしは30年間、フィレンツェで建築家をしていました。 まったく違う世界で活躍されていたんですね。 どうして転身されたのでしょう。ストレス等の要因があってお辞めになったのでしょうか? いいえ。 建築の仕事が大好きで、

香りの工房。n.2*精油のちから*

香りの工房のつづきです。前回は、こちらからご覧ください。今回は精油の持つパワーについてお話しを伺います。 わたしたちの嗅覚は、内在する心の声、心の調子(波動)、身体が求めている香りの記憶などにより変化します。 波動とは?精油は、生きた植物から抽出します。化学物質の調合ではありません。ですので、精油は、生きた物質なんです。 そして、この生きた物質は、植物の波動を伝えます。さらに、精油は生きた植物の物質を凝縮したものなので、波動がとても高いんです。 100キロの植物から、

香りの工房。n.1*精油との出会い*

例えば、アロマセラピストのもとへ行ったとするでしょう。あなたは症状を説明して、セラピストはあなたにあった精油を処方します。 一方、香りのセラピストは、あなたに処方するのではなく、あなた自身が、あなたの嗅覚をもって自分自身で選びます。 セルフセラピー(自己治癒)と言い換えることも、できるでしょう。 ここは、中心街の一角。アパートの呼び鈴を押して、アトリエにお邪魔します。 コロナで動きが取れないときに、フィレンツェ中小企業促進協会の、職人工房見学に参加して出会った工房です

再生

バイオリンの妖精。動画編。

以前にバイオリン職人パリス・アンドリューさんのインタビュー記事を、2回に渡り掲載しましたが、今回は動画をお届けします。 彼女の声、話し方、表情、考え方を、より近く感じ、文字で追うのとは、また違う一面が覗けることでしょう。 8分ほどの長い動画なので、タイムスタンプをつけています。各項目に飛ぶには、Youtubeからご覧ください。 00:16 バイオリン職人 00:50 バイオリン職人になるきっかけは? 01:14 イギリス出身のパリスさんがフィレンツェにきた、きっかけは? 01:37 いま製作しているバイオリンは? 01:58 パリスさんの仕事場。 02:32 パリスさんとインスタグラム。 02:52 コラボレーション 03:33 バイオリン製作という仕事 05:10 製作したバイオリンを、手放すときの気持ちは? 05:37 女性バイオリン製作者が作る、コミュニティ。 06:25 パリスさんがリサーチしているもの。 07:18 この仕事についてなかったら、何になっていましたか? 07:41 時空を旅できるとしたら、過去と未来のどちらに行きますか? 08:07 職人とは?

バイオリンの妖精 * 後編 「いま」そして「これから」。

前編は、パリスさんを取り巻いていた「きっかけ」をご案内しましたが、後編は、「いま」活動していること、「これから」向かおうとしている所について、話しを伺います。 *リュテリア・トスカーナ(Liuteria Toscana)パリスさんが所属している工房、リュテリア・トスカーナは、同名で学校もありますが、ここは学校ではないんですよね? 学校は隣町にあります。生徒が実習にくることがあり、そのときは、空いている台や、わたしが使っている台をシェアして、全員が作業できるだけのスペースが