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美しい小都市や田舎を訪ねる。

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イタリアの小都市や田舎は、きちんと整えられて、花が飾られていて、住民同士の絆が深くて、自然と、歴史と、人が、ゆったりと時のなかに身を置いています。豊かさってなんだろうって、考えて…
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#リグーリア

人の人との繋がりのある、田舎の美しさ。*Ortonovo オルトノーヴォ*

11世紀から12世紀にかけて造られたOrtonovo(オルトノーヴォ )村。Ortoは菜園や野菜畑の意味。novoは新しいの意味。「耕作するための新しい土地」という名を持つ村です。 地図にも通りの標識にも、オルトノーヴォと示されていますが、2017年4月20日から、ルーニへと名称が変更になったという面白い村。 どうして村名が変更になったのか興味が湧き調べてみたら、住民投票で決めたらしいです。93.20%が変更する。6.8%が変更しない。圧倒的多数でルーニに変更決定。 な

田舎の美しさ。番外編。*Portus Lunae ルーニ港*

いままでご案内してきた村々。村の起源は古代ローマ時代まで遡りますが、この地方に残っているものがあります。 じゃん! 円形劇場。 紀元前177年に、古代ローマ人がマグラ川の河口に街を建設。ローマ時代は街のすぐ隣に港があり、貿易の寄港地として栄えます。 湿地地帯を開墾して作られた街は、「湿地」という意味のLun(ルン)もしくはLuk(ルク)からルーニと名づけられます。 さらに面白いことに、ルーニの単数形はLuna(ルーナ)で「月」という意味。月をシンボルとする女神はアル

ある夏の日の、田舎の美しさ。*Castelnuovo Magra カステルヌオーヴォ・マグラ*

今回は、山の傾斜に立つ村じゃなくて、横長の村。 Castelnuovo Magra カステルヌオーヴォ・マグラという、人口約8500人の村です。 マグラというのは、近くに流れる川の名前。マグロじゃなくてよかった。一文字違うだけで、まるで感じが変わります。マグロ川なんて、お魚の鮪が泳いでいるのを想像してしまいます。 マグラというのは「痩せた」という意味。広く大きな川ですが、常に砂利が見えるほど、水量の低い川で、リグーリア州とトスカーナ州の境を流れています。 城跡の隣に大

時間と自然と人が共存する、田舎の美しさ。*Trebiano トレビアーノ村*

前回は、5つの村が断崖に立つチンクエテッレで有名なリグーリア州にある、アルコラ村をご案内しましたが、今回は続編です。 アルコラ村からトレビアーノ村までは、距離にして7キロ。だけど、山道をうねうねと登るので、車で15分ほど。 トレビアーノ村はアルコラ村の集落。ということは、アルコラ村より、もっと小さい村。 村の一番高いところには、かつてのお城が建っていますが、建立は963年。崩れたとはいえ、いまでも残されていることに驚きます。石のひとつひとつが、いまも昔も、じっと佇み、人