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美しい小都市や田舎を訪ねる。

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イタリアの小都市や田舎は、きちんと整えられて、花が飾られていて、住民同士の絆が深くて、自然と、歴史と、人が、ゆったりと時のなかに身を置いています。豊かさってなんだろうって、考えて…
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#この街がすき

ある夏の日の、田舎の美しさ。*Castelnuovo Magra カステルヌオーヴォ・マグラ*

今回は、山の傾斜に立つ村じゃなくて、横長の村。 Castelnuovo Magra カステルヌオーヴォ・マグラという、人口約8500人の村です。 マグラというのは、近くに流れる川の名前。マグロじゃなくてよかった。一文字違うだけで、まるで感じが変わります。マグロ川なんて、お魚の鮪が泳いでいるのを想像してしまいます。 マグラというのは「痩せた」という意味。広く大きな川ですが、常に砂利が見えるほど、水量の低い川で、リグーリア州とトスカーナ州の境を流れています。 城跡の隣に大

石畳のアーチが連なる、田舎の美しさ。*Vezzano Ligure ヴェツァーノ・リーグレ*

アルコラ村でおまわりさんから教えてもらった、貴重な地元情報。 人口約7000人が住む村。やはり小高い丘の上に立っています。 村の一番高いところに建つ塔を目指して行ってみましょう。 村の入口の広場に描かれたフレスコ画。これはなんでしょう? RIONEは「地区」という意味。ヴェツァーノ・リーグレ村は、広場地区を中心に、9つの地区に分かれていることを示しています。 場所によっては、地区対抗のレースが繰り広げられます。代表的な例では、フィレンツェから日帰り旅行できる古都シエ

香りの工房。n.8 *薬局と、薬草店と。*

前回までルネッサンス時代へとタイムスリップしていましたが、今回からは現代に戻り、イタリアの薬草の世界についてご案内します。 前回までのシリーズは、本投稿の一番最後に案内していますので、ぜひお立ち寄りください。 薬局と薬草店の共存マリア・レティツイアさんにお話を伺っている時、『エルボリステリア(薬草専門店) 』という言葉が発せられました。 イタリアには、製薬会社の薬を販売する薬局のほかに、薬草を専門とするエルボリステリアというお店も存在します。 薬局はファルマチア(Fa

ルッカのプライド

街をグルリと囲む城壁が残っているのは、イタリアでも珍しい。 戦争だったり、都市計画だったりで、壊されてしまうことが多いから。フィレンツェにも1284年に造られた城壁があったのに、1870年に都市計画のためという理由で、一部が取り壊されてしまった。 いまだにフィレンツェ人の泣き所。もし「あの」城壁が残っていたら、交通規制もできただろうし、古都の雰囲気も、いまよりもっと残されていたはず。 そこにくると、ルッカはすごいんです。 1504年からの城壁で、街がグルリと囲まれてい

クレモナのバイオリン物語

バイオリンは、貴人のような佇まいで、近寄り難き美しさ。なのに、惹きつけられて、魅入ってしまう。 興味はあるけど、どこから入っていけば分からない。無縁のまま、いままで過ごしてきたけど、去年訪れた職人展示会で、バイオリンの職人に出会ってから、俄然と「知りたい」という欲求にとらわれた。 職人の仕事が「どこまでも手で作る」ということは、頭でわかっているはず。でも、やっぱり、渦巻きの曲線部分でさえも、手で彫る姿に、目を奪われた。 バイオリンのわたしの知識といえば、名匠アントニオ・

クレモナで、聴いて、食べて、感動して。Part.1

バイオリン編でもクレモナが登場しましたが、今回は街歩き。バイオリンだけじゃない、小さくて偉大なクレモナ。見どころが、ギュっと濃縮されている、美しい街です。 クレモナの街歩き冬のイタリアは、暗くなるのが早い!11月や12月の16時30分頃には、とっぷりと日が暮れます。そのため、イルミネーションが映える、夕方の散策が楽しい季節でもあります。 モダンに。とか、シックに。とか、コンセプトに合わせて建てるのではなく、昔からそこにある建物を単純に利用しただけで、まるで映画のワンシーン

クレモナで、聴いて、食べて、感動して。Part.2

バイオリン編でもクレモナが登場しましたが、前後編に分けてクレモナの街歩きをご案内します。バイオリンだけじゃない、小さくて偉大なクレモナ。見どころが、ギュっと濃縮されている、美しい街です。 Part.1 クレモナの街歩き 食べても楽しい、クレモナ。 Part.2 バイオリン博物館クレモナは、バイオリンだけの街じゃないといっても、やはりアントニオ・ストラディヴァリは、街に欠かせない存在。彼の名の広場には、モダンな彼の銅像があります。 こちらにも、彼の銅像があります。ここは

アレッツォ紀行 (音の美しさ 番外編) 

「音の美しさ」のパート2は、ただいま準備中なので、今回は、番外編として、前回登場したアレッツォの街を、ご案内します。いつもは文章多めですが、今回は写真が中心です。 グイド僧の背後に、遠く見えるのが、アレッツォの大聖堂です。尖塔が空に向かってスっと伸びています。 高台にある大聖堂までの、ゆるやかな坂道。 街の中心にある、大きな広場大きな広場と呼ばれるピアッツァ・グランデ。毎月第1週目の日曜日には、骨董市が開催されます。 傾斜に沿って作られている。ゆえに、広場も斜め。イタ

緑の中に村が点在する、トスカーナの田舎。その1 [小さな村とナイフ職人] 。*エノガストロノミア&アトリエ n.5*

『フード&デザイン』をテーマに、アトリエや工房を見学しつつ、「ワインを飲みながら、食事も楽しみましょう!」という、あちらも、こちらも、どちらも楽しそうなイベント。 前回までのお話しはこちらです。 イタリアの、田舎風ラーメンに出会う。 *エノガストロノミア&アトリエ n.1* 匠が集い、匠を知る、スクオーラ・ディフーザ 。 エノガストロノミア&アトリエ n.2 自然と共存する、銅版職人。エノガストロノミア&アトリエ n.3 熱き革細工師が語る、イタリアのモノづくり。そ

緑の中に村が点在する、トスカーナの田舎。その2。 *エノガストロノミア&アトリエ n.6*

『フード&デザイン』をテーマに、アトリエや工房を見学しつつ、「ワインを飲みながら、食事も楽しみましょう!」という、あちらも、こちらも、どちらも楽しそうなイベント。 イタリアの、田舎風ラーメンに出会う。 *エノガストロノミア&アトリエ n.1* 匠が集い、匠を知る、スクオーラ・ディフーザ 。 エノガストロノミア&アトリエ n.2 自然と共存する、銅版職人。エノガストロノミア&アトリエ n.3 熱き革細工師が語る、イタリアのモノづくり。そして育成。エノガストロノミア&アト

緑の中に村が点在する、トスカーナの田舎。その3。 *エノガストロノミア&アトリエ n.7*

『フード&デザイン』をテーマに、アトリエや工房を見学しつつ、「ワインを飲みながら、食事も楽しみましょう!」という、あちらも、こちらも、どちらも楽しそうなイベント。 イタリアの、田舎風ラーメンに出会う。 *エノガストロノミア&アトリエ n.1* 匠が集い、匠を知る、スクオーラ・ディフーザ 。 エノガストロノミア&アトリエ n.2 自然と共存する、銅版職人。エノガストロノミア&アトリエ n.3 熱き革細工師が語る、イタリアのモノづくり。そして育成。エノガストロノミア&アト