マガジンのカバー画像

美しい小都市や田舎を訪ねる。

24
イタリアの小都市や田舎は、きちんと整えられて、花が飾られていて、住民同士の絆が深くて、自然と、歴史と、人が、ゆったりと時のなかに身を置いています。豊かさってなんだろうって、考えて…
運営しているクリエイター

#トスカーナ

トスカーナの山奥にある、絵の村。 n.2

n.1では、カーゾリ村の心温まる村里アルバム壁画などを紹介しましたが、今回は彼らの知られざる歴史から村に近づきます。 海と村と、気球。カーゾリ村の壁は、歴史も語る。左から右に連なる連作。 最初の一枚。日傘を差した2人の女性が描かれている背後の建物。Grand Caffe (グラン・カフェ)と書かれている。どこかで見た。どこだったろうと、記憶を辿り思い出した。海岸沿いのヴィアレッジョという街のメインストリートにいまも建っている、あの建物だ。 1900年代初期は、ヴィアレッ

トスカーナの山奥にある、絵の村。 n.1

海岸沿いからほど近い村にて、お肉を調達していた時のこと。ショーケースに並ぶお肉をあれこれ物色しているときも、おしゃべりが絶えることのないイタリア。 会話に出てきたカーゾリという村。店の息子さんはここから通っているそうだ。 「面白い村だから、行ってきたらいいよ。」 その一言につられ、なんの予備知識もなく訪れたカーゾリ村。前回の投稿からずっと彷徨っている村である。 Casoli - カーゾリ村下界からは空の彼方に霞んでみえた山の頂上が、目の前に立ちはだかり、迫ってくるよう

緑の森に浮かぶ、茶色い屋根。田舎の美しさ。 *Buti ブーティ村 *

前回に引き続き、「田舎の美しさ」シリーズです。 マグネシウムを多く含んだ硬水が多いイタリアですが、ところによっては日本のお水のように柔らかい軟水の水が湧き出るところもあります。 城壁に囲まれたトスカーナ州ルッカ街の周辺もそんなところ。とうとうと流れる川と共存している村も多く、ただ歩いているだけで空気が美味しく清々しい気分になります。 ブーティ村。前回のルオータ村が山の頂上にあるとすれば、ブーティ村(Buti)は同じ山の裾にあります。 建物から張り出した納戸のようなもの

お山のてっぺんにある、田舎の美しさ。 *Ruota ルオータ村 *

イタリアは8月1日から気もそぞろ。もとい。7月1日から気もそぞろ。 あといくつ寝ると夏休み。指折り数えて待ちに待った夏休みが真っ盛りのイタリアです。フィレンツェの中心街は、6月7月ほどではありませんが、それでも道を真っすぐに歩けないほどの混みようです。 かたやフィレンツェの市街では、人々は海へ山へと大陸移動し、朝も夜もしんと静まり返り、車の音の代わりに、風の音すら聞こえてきます。 今回は、日々そんな美しい静けさの中で過ごしている、小さな村へとご案内します。 夏休み時期

教会と光と夏至。

夏至の日は、たまたま海方面へ行っていて、サンミニアートアルモンテ教会のような夏至のスペクタクルが観れるところないか、探してみた。 あったあった! 場所は、バディア・サン・ピエトロ教会。 建立は700年代で、いまの姿は12世紀のもの。 巡礼の路といえば、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路が有名ですが、ローマへ向かう、フランチージェナと呼ばれる巡礼路がイタリアにもあります。 余談ですが、コロナ以降、イタリアは、ちょっとした巡礼路ブーム。数日かけて、巡礼地

カッラーラ山は、宝の山よ。

フィレンツェから高速道路に乗り、海沿いに向かって行くと、夏でも真っ白い山々が現れます。これが、カッラーラ山。 前回案内したサンミニアートアルモンテ教会の白い部分も、ルネッサンス時代を代表するフィレンツェの大聖堂の白い部分も、ミケランジェロ作のダヴィデ像も、ぜーんぶ、カッラーラの大理石。 いざ、カッラーラ山へ何トンもある大きな塊の大理石を乗せたトラックが、行き交うカッラーラ街。すれ違うだけで、迫力。採石場に行く道は何本もあり、まるで迷路のよう。 カッラーラ山の大理石は、世

聖なる石の街に、恋する芸術家たち

大理石シリーズ最終編3部目です。 カッラーラ街から30キロほど海沿いに南下したところ。その名を「聖なる石の街」、イタリア語で「ピエトラサンタ」と言う。「大」をいくつ付けても足りないほど大好きなところ。 街名から察するように、ここも、やっぱり大理石とともに生活している街。工房があり、博物館があり、芸術家も、住んでいる。 この街に恋し移り住んだ代表的な芸術家に、コロンビア出身のフェルナンド・ボテロがいます。 ポテっと小太りの可愛らしい絵や彫刻が特徴。メインストリートに面す

緑の中に村が点在する、トスカーナの田舎。その1 [小さな村とナイフ職人] 。*エノガストロノミア&アトリエ n.5*

『フード&デザイン』をテーマに、アトリエや工房を見学しつつ、「ワインを飲みながら、食事も楽しみましょう!」という、あちらも、こちらも、どちらも楽しそうなイベント。 前回までのお話しはこちらです。 イタリアの、田舎風ラーメンに出会う。 *エノガストロノミア&アトリエ n.1* 匠が集い、匠を知る、スクオーラ・ディフーザ 。 エノガストロノミア&アトリエ n.2 自然と共存する、銅版職人。エノガストロノミア&アトリエ n.3 熱き革細工師が語る、イタリアのモノづくり。そ

緑の中に村が点在する、トスカーナの田舎。その2。 *エノガストロノミア&アトリエ n.6*

『フード&デザイン』をテーマに、アトリエや工房を見学しつつ、「ワインを飲みながら、食事も楽しみましょう!」という、あちらも、こちらも、どちらも楽しそうなイベント。 イタリアの、田舎風ラーメンに出会う。 *エノガストロノミア&アトリエ n.1* 匠が集い、匠を知る、スクオーラ・ディフーザ 。 エノガストロノミア&アトリエ n.2 自然と共存する、銅版職人。エノガストロノミア&アトリエ n.3 熱き革細工師が語る、イタリアのモノづくり。そして育成。エノガストロノミア&アト

緑の中に村が点在する、トスカーナの田舎。その3。 *エノガストロノミア&アトリエ n.7*

『フード&デザイン』をテーマに、アトリエや工房を見学しつつ、「ワインを飲みながら、食事も楽しみましょう!」という、あちらも、こちらも、どちらも楽しそうなイベント。 イタリアの、田舎風ラーメンに出会う。 *エノガストロノミア&アトリエ n.1* 匠が集い、匠を知る、スクオーラ・ディフーザ 。 エノガストロノミア&アトリエ n.2 自然と共存する、銅版職人。エノガストロノミア&アトリエ n.3 熱き革細工師が語る、イタリアのモノづくり。そして育成。エノガストロノミア&アト