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アートケアだより2007年8月号

 今年20周年を迎えた「アートケアだより」のバックナンバー紹介。2007年8月号は、少し年の離れた2人のお子さんを育てているMさんへのインタビューでした。
 弟誕生の幼稚園時代のこと、1年生になって苦手だった字が上手になったこと、親子ゲンカのことなど、素敵なお話をお聞かせいただいていたなぁと。
 ほめること、指摘しないであげること、親も感情を出しちゃえ〜っということ、いろんなバランスを教えていただいたご家族です。

 Hちゃんは現在、雑貨屋さんでお仕事をされています。6年生の頃にはカッコいいイラストを描いたりしていました。

 Kくんは「大学一般受験に向けて絶賛猛勉強中です。今まで1ミリも勉強してこなかったツケが回ってますね!」とのこと。
 相変わらずMさんはおもしろい方です! 
 Kくん、受験勉強ファイトー! 応援しています!

7歳の時「アートケアひろばの展覧会」に出した作品。雑貨屋さんの仕事への片鱗が!?


●練習嫌い、どうする?

冨田:1年生になってどうですか?
M:生き物係になってはりきってますね。入学前は「小学校楽しみ☆」って言ってたから、心配はなかったです。お友だちとの間でささいな落ち込みとかはあるみたいですけど、すぐケロッとしてますから心配して損したっていうことも。
 入園の時は心配でしたよ。ママと離れたくないーって泣いてましたから。下の子の妊娠出産が重なっていたこともあるかも。

冨田:赤ちゃん返りはなかったですよね。
M:なかったです。むしろ世話を焼いていましたね。
冨田:そうか、生き物大好きだから!
M:そう、小さい生き物相手と一緒! 弟のKが遊びがうまいのは、ほんと、Hちゃんに 感謝です。

冨田:Hちゃんのピアノに合わせてKちゃんも太鼓、かわいいよね。最近「音ことばワーク」で初見の曲でも、できるまで練習するようになりましたよね。
M:練習、キライなんですよね! 幼稚園の演奏会では見るからにやる気ないって年もありましたし、年長で夜中うなされてた時、パパと「木琴の練習が原因かなー」って話してたこともありました。

冨田:劇が好きだったんですよね。
M:そう、歌や踊りは大好きで、劇も主役級じゃなくてその他大勢だったんだけど、すごくはりきってて全クラスのセリフを覚えてましたもん。

冨田:小学校に入って、運動会はどうしたの。?
M:「はぁ練習だ。H、嫌いなんだよね」とか言ってましたよ(笑)授業の方が好きなんですって。私も参観して活気があるなって思いました。

冨田:いろいろ練習はいやだ~とか言いながら乗り切れちゃうのかな。本番に強い?
M:強い! 幼稚園での木琴も、本番はプロみたいにノリノリ。

M:あの…子どもが嫌なことって皆さんどうやってやらせてるんですかね。
冨田:それをMさんに聞こうと思ったのに! 最近 楽器の練習だけじゃなく絵もへこたれなくなってきたでしょう。この前、うまく描けなくてしょげてた時、「先生が1年生の時よりHちゃんの方が断然うまいよ。まぁうまくいかなくてへこたれても、また元気出たら描いてね」と声をかけたらまたしっかり描いていたので、すごいと思いました。

工作。カブトムシが入ってるの、見えますか〜?
カブトムシを観察して

M:先日、雨で家にいた時、絵でも描こうと、カブトムシとザリガニを観察して描いていました。お友だちと遊ばない時間も大事だなってその時思いましたね。ふだんは学校行ってお友だちと遊んで宿題、お風呂、ご飯って忙しいですからね。

冨田:虫が好きなんだよね。日頃よく観察しているから描こうと思う通り描けて嬉しいんだろうな。絵が上手くなるにはじっくり「見る」ことがまず大切なんですよ。あと、どう見ても下手な絵をほめたりしない。

M:あははは、そうですね。入学してすぐに学校で先生が「練習させずに書かせてみました」と縦書きで名前を書いた時、Hは「Hね、字が下手なんだ」と、かなりへこんでたんですね。それで私が小学生の時に会った男の子の話をしたんです。その子は字が下手だったんだけど、ゆっくり書いて練習して上手くなっていったよって。だからHもゆっくり書いてごらんって。でもこれは見る前の話で。後で実際に掲示してある字を学校で見たら…!きったないなー大丈夫かなーって…。間違いなくワースト3入りでした。

●ほめ上手!

冨田:字を見た後は何か話したの?
M:いえ…何も言いませんでしたね。その後、自分で気づいてがんばったんでしょうね。3ヶ月後、七夕の短冊に書いた文字を見に行った時は正直、びっくりしました。はっきり大きく書いてあって「すっごい上手いじゃん、先生が書いたのかと思った」と言ったら「えへへ、そんなことないよ」なんて嬉しそうでね。

冨田:ほめ上手!やっぱりダメなところも自覚して、乗り越えて、自分でもやれたなって時にほめられたらはまるんだよね。

冨田:Mさんは子育てで煮詰まったのはどんなことですか?

M:そうですね。口応えされると互いにエスカレートして怒鳴り合いになっちゃうんです。しまいに親に手を挙げてくるんで、その手をぐっと握って…なんてやってると落ち込みますねー。見かねてパパが「2人ともやめろよー」。で「2人ってあたしもか!」って感じで…。ほんっとに怒りのツボに入ってくるんですよね、カッチン!って。みんなに聞くと「うちもそうだよ」。親に聞くと「思春期はもっとすごいよ」。心穏やかにというのが理想なんですけど。

冨田:心穏やかにねぇ…私にとっても理想ですな!


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