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喜びも悲しびも みんな生きたい

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口には出せなかったけれど  心が折れそうな危うさの中で 私たちは 同じ風景を眺めた 青い海を見ているの?  白いカモメを眺めているの?  あの日 ここに私たちがいた  そのこと…
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#書

春来春去

春来て春去り 季節はめぐって 今年もまた春がやってきた・・・・・・ 「もうええか?」 短くて小さな声だった。 朝方、眠っている私の右上の方から聞こえてきた気がした。 聞き覚えのある声だった。 あれはきっと父だ。 父はもう20年近く前に癌を患って死んでいる。 こんなことは今までに一度もなかったけれど、 でもあれは確かに・・・?! わたしは父の声を覚えていた。 近頃、気分の変動に自分を合わせていくのが辛くなることが増えてきた。 免疫力が減ってゆくのは詮無いことで、と

木霊(SOUL)

1鉢500円のポット苗  妻が植えたゴールドクレスト いつの間にか3メートルを超える高さまで 大きくなった。 何度か剪定を繰り返したが それでもいよいよ電線に届きそうになる位まで 成長した。 安全のためにと脚立に上り大胆に切って スリムにした。 剪定した直後の枝は リラクゼーション効果のある フィトンチッドの爽やかな油性の芳香を周りの世界に 充満させた。 いつもならその香りを楽しむために室内に置いておくだけだったが   なぜかこれで「 書 」を楽しみたいという 衝動に