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[アルテシンポジオオープン秘話. vol.2]

破格な条件と言うのは、
会員制の高級レストランのシェフとして
お客様の御要望に出来る限り答える事が前提ですが、
料理は僕のスタイルでやって欲しいとの事。

待遇面も凄くて、当時もらっていた3倍以上のお給料を提示され、
厨房の設備設計も僕の自由とまで言われました。

27歳の未熟者の僕には釣合わない破格なお話しです。
その方には何度かプライベートで料理をお出しした事があったので、それで信頼してくださったのでしょう。
けれども、僕は西沢シェフの傘の下でしか厨房を仕切った事がなく、
イタリアではポジションシェフまでしか経験してません、正直経験不足だと思いました。

大いに悩んでると
奥さんが

「やったら?やってから考えたら良いじゃない。」

その言葉に後押しされ、
東京の話を受けることにしました。


レストランの図面チェックや事業計画の打ち合わせを進めて行き、お店の立ち上げって楽しんでいました。

しかし色々と話しているうちに、向こうの価値観とこちらの思いの間に相容れぬ物を少しならず感じる所がありました。

僕の胸につかえた何とも言えないモヤモヤが残り
もうそれが取り除けなくなった時に
東京行きを断ろうと思っている事を
奥さんに相談しました。

「折角のチャンスなのにもったいない、
こんな良い話は先ず他では無いよ。」

そうだよね。わかってるんだけど。。。
でも、どうしてもモヤモヤが消えることがなかったのです。
結局、お断りする事にしました。
先方もびっくりしたでしょうね。

僕も自分でびっくりしています。
縁がなかったんだと思います。
奥さんも、

「私も貴方が東京で働いてる映像が見えなかったから
無くなるんじゃないかと思っていた。」

と不思議な事を言っていました。

そんなこんなで
次のアテもなくなり
さあどうしようか?
ってなりました。

ディボディバは
今、僕なしの体制に備えて皆んな頑張ってて良い感じになってるのに、
すみません、やっぱり戻ります!
って言えないし

また悩んでると
奥さんが

「自分でやったら?
私も料理サロン始めた時は不安やったけど楽しいよ。」

僕なんかより早く自分でやってるんですね。
簡単に言ってますけど、
やってる分説得力はあります。


次回 物件探し


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