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[マダム ノリ編 vol.3]

奥さんから許可が出ましたのでupします。

イタリアに到着して
イタリア修行編でも書きましたピエモンテ州のドモドッソラへ向かいました。
アルプスの麓の綺麗な風吹く街で
そこのロズミーニと言う学校でイタリアの郷土料理や伝統料理や座学などを学びます。

数人で団体生活をしながら、数週間学校生活の後、イタリア各地を料理学校での地方料理のレッスンやワイナリー、特産物の見学などをしながら周ります。

奥さんはまだ僕の後ろにチョコっと居ているので、色々話しをしてみるのですが

なんか話があまり噛み合いません。

どうやら奥さんは祖母から3代同じ女子校に通う生粋のお嬢様のようで
ずっと公立で過ごしてきた当時の僕からしたら
お嬢様なんてテレビでしかみたことがなく
生きてきた世界が違うからかと勝手に思っていました。

でもただ単に独特な世界観の持ち主だったんですね。
気が弱いクセに結構頑固で自分で感じたり思ったことは例え多数対一であろうと曲げません。
争うのは嫌いなのに負けず嫌いです。

イタリアでは決まった曜日に大きなメルカートが開かれるのですが、ドモドッソラはそれが土曜日で、オッソラ地方のサラミやチーズ、野菜などが並びます。
普段引っ込み思案な奥さんですが
メルカートの時だけは人が変わったように
大はしゃぎ
とても楽しそうです。

食べることが本当に好きなようです。

ictの研修プログラムもイタリア周遊に移りました。
この移動研修が中々ハードで、団体でのバスや船移動は体力もそうですがメンタルにも結構きます。
体力勝負のコックの僕ですらしんどかったのですから、生粋の箱入り娘の奥さんにはさぞかし辛かっと思います。

実際、イタリアを一周周り
再びドモドッソラに戻ってきた頃には、
ictは奥さんのリストランテでのスタジエは
無理だと判断しました。

そんな軽い気持ちでイタリアに来た訳じゃないと
奥さんは食いつきましたが、
僕もやめておいた方が良いと説得し、
奥さんは帰国しました。

私は戻ってくると言い残して

実際3週間ほどで戻ってきました。
フィレンツェのデザイナースクールと陶器の学校やボローニャのシミリ姉妹の料理レッスンを受ける為に、
戻ってきた奥さんは
あの弱々しさは一切なく
人が変わったように生き生きとしていました。
多分点と点が繋がったんでしょうね。

迷いもなくただ、イタリアを楽しんでいます。
カピトリーノの吉川シェフにイタリアを楽しんできます。と宣言した僕よりもずっと。

この後、ミラノに来てホームステイ先を探したり、語学学校も2つぐらい行ってたと思います。
学び向上するのが好きなんでしょうね。
もうその頃はそんな感じの仲でしたので
戻って来たのを嬉しく思いました。

暫くしたら、

「私はリストランテに働きたくてイタリアに来た訳じゃなかったけど、
無理と言われたらそれでそれはなんか悔しいから、リストランテで働いてみたい」

と言い出しました。
僕もちょうどサドレルからアイモ エ ナディアに移籍したところでしたので、
サドレルに奥さんを紹介しました。

ある夜、仕事に疲れてアパルトメントに帰ると部屋の前で三角座りで泣いて奥さんが居ます。

「シモーネとアンドレアがいじめる。」

多分彼らは俺のことが好きすぎて君にあたってるんじゃない?
ごめんね、なんか。

「うん、でも悔しいから頑張ってみる。」

とか言ってるうちに
サドレルの新店オープニングのメンバーに選ばれ
バリバリ働く事に。
立場も状況も整い
苦難ばかりだったイタリア生活も
順風満帆になりました。

お姉様から頼まれた気にかけて下さいも
もう気にかけなくても大丈夫になった頃。

僕の帰国の時期が来ました。

サドレルの仕事にやりがいを感じてる奥さんと
それぞれの未来を見据え僕たちは
別々の選択をしました。

僕は京都に帰り
逆カルチャーショックにやられながらも
日本のスタンダード慣れ始めた頃。

奥さんから
サドレルの地下の倉庫からドルチェを運んでる最中に階段で転んで半月板を損傷したから入院して結果帰国します。と連絡が来ました。

僕は迷うもなく言いました。

京都においでと。

そんな奥さんは結婚した後
料理サロンを運営したり、オリーブオイル関係の仕事をしたり、八面六臂の大活躍です。
年の1/3をイタリアで過ごしてる年もありました。
もう誰も止められません。

でもやっぱり天然で独特な価値観の
奥さんです。

今日はそんな奥さんと僕の
20年目の結婚記念日なんです。

この投稿では散々弄りましたが
僕が至らなく未熟な事で本当に苦労をかけました。
本当に感謝してます。

僕が今こうやっていられるのも奥さんのおかげです。

これからもずっと宜しくね!
マダム ノリ

あっ後、奥さんの生い立ちとが経験のナイーブなところ話すのは今回がはじめてなので、僕と皆さんだけの秘密にして下さいね。

じゃないと僕が怒られますんで。

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