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[マダム ノリ編 vol.2]

今はまあ聞かれることは無いのですが
アルテシンポジオのオープン当初は
お客様や取材の時に

「マダムとの馴れ初めは?」

と質問されるので

「出会いはイタリアです。」

と答えてました。
でも本当はイタリアじゃないんです。

少しイタリア修行直前まで話しを戻しますね。
イタリアに修行のためには、滞在許可証が必要です。
滞在許可証には労働ビザと修学ビザがあり
僕の目的はイタリアに料理の研鑽でしたので
修学ビザが必要でした。

ict食文化企画と言う組織がイタリア研修の企画サポートをしていたので
その説明会に参加しました。

渋谷にある事務所にちょっと早めに入り
しばらく待っていると、
次から次に人が集まり会場は直ぐにいっぱいになりました。
こんなに参加希望者がいるのかぁ
とか思っていると

開始ギリギリにガチャっとドアを開け
入ってきたのが、今の奥さんでした。

第一印象は、、、。

ギリギリに来た人。

ゲストは当時はカピトリーノをされていた吉川シェフでイタリアでの修行エピソードなど、色々貴重なお話しをしていただきました。
説明会も終盤にさしかかり、質疑応答。
吉川シェフがイタリアに行ったら何をしたい?
と参加者全員に質問しました。
来場者が、出来るだけ沢山のレシピを持って帰りたいとか星付きのリストランテで働きたいとか言ってる中。
奥さんは

「私はイタリアに行ってもリストランテで働きたいとは思ってません。」

と、
もちろん会場はシーンです。
吉川シェフも
えっとこれってリストランテの研修の説明会だよね?
って、ですよねー。僕もそう思いました。

かく言う僕も
僕はイタリアを楽しんで来たいと思います!
それだけです。
って言いましたけど。

まあそんな印象でしたので
さすがにこの子はイタリア研修に参加しないだろうと思ってたのですが、

成田空港での出発前の顔合わせに
居るじゃないですか!
あの不思議ちゃんが!

どう言うルートを進めば、あそこから参加に至ったのかが不思議でなりません。

まあでも席も遠かったですし、
僕の心も既にイタリアに向かい
これから起こる事にワクワクしていたので
それ以上気にもかけることもありませんでした。

顔合わせも終わりロビーに向かおうかとしていたら、
突然横から声をかけられました。

「あの、すみません。
この子の姉なんですが、
妹は世間知らずなのに初の海外なんです。
もしよかったら気にかけてもらえませんか?」

、、、、え?
僕ですか?

なんで僕?と思いながらも

「あ、はいわかりました。」

はい!コレ!!
これが僕とマダム ノリの本当の出会いです。
ガレッリアでジェラートを食べながら歩いてたらぶつかった訳でもなく
ミラノチェントラーレでピンチを救ったヒーローだった訳でもなく、実際はこんな感じでした。

「じゃあよろしくね。」

と挨拶をすると首をコクンと縦に振り
お姉様の言いつけ通り
僕の後をチョコチョコとついてきました。
そして僕らはまるでカルガモの親子のように
ロビーへ向かいました。

次回(マダムの許可がおりたら) イタリアでのエピソード

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