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いま絵を見ることの重要性

クリムトが永眠した1918年と同じ年、画家エゴン・シーレも28歳という年齢でこの世を去った。今から100年前に世界的に蔓延した感染症・スペイン風邪が原因だった

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2年前の2019年は、日本オーストリア外交樹立150周年、それからグスタフ・クリムト、エゴン・シーレ没後100年で特別企画展「クリムト展・ウィーンと日本」「ウィーン・モダン〜クリムト、シーレ世紀末への道」が開催された。あれからもう2年、まだ2年しか経っていない。

クリムトの有名な「接吻」(80年代以来、来日なし)や、「エディット1」「女の三世代」、「エミリーエ・フレーゲの肖像」など、いま現在、すぐにヨーロッパへ飛び立って、パッと対面することがそう簡単ではない。

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いま私は、アートや美術に生で向かい合うことの重要性、意義、そしてこれから未来の美術鑑賞、絵を見ることの大事さをあらためて感じています。

2年前あのとき美術番組の企画・構成、ディレクターとして、来日したウィーンの世紀末に描かれたこれら珠玉の名品たちと、撮影の間、濃密な時間を過ごさせてもらう貴重な経験をさせていただいきました。
私は、いまも多くの人にそうした私の感動、そして絵画と向き合い、直観したそのエネルギーを、もっと伝えるべきだと感じています。

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絵や美術に向かうことは、人間の生と死を自身の内面に響かせることなのだと、私は思います。「人が生き続けること」と「人生の終着地点、あるいは死を超えたあちら側の世界のこと」を視覚や感性・感受性によって、自分の内側にしっかり刻むこと。

ウィーンの世紀末に力強く描かれた「エロスとタナトス」。つまり「生のはじまりであるエロス・愛のエネルギー」、そして「タナトス・死に向かう覚悟や気持ち」。絵や美術を見ることは、それらが自分の心の奥で腑に落ちる、その一瞬の行為なのだという気がします

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清藤 誠(キヨフジ☆セイジ/アートドキュメント総合ディレクター)
TVプロデューサー/NHK「日曜美術館」ディレクター
運命学・陰陽師としての視点からアート美術史、日本文化・芸能メディアを紹介しています。
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美術展・ギャラリーが時間制人数制限、臨時休館中という
昨今の状況を鑑み、”こんな時だから”

美術館へ行こう
を開いていみました。

(エゴン・シーレ「ほおずきの実のある自画像」1912年・レオポルド美術館蔵/グスタフ・クリムト「接吻 The Kiss」1907・ベルベデーレ宮殿美術館蔵/パブリック・ドメイン画像より。写真は、2019年番組撮影中の雑感)

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