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「Digital Art Week Asia 2023」@銀座でゲームを活用した新たなアート体験!NFTオークションでは80%の作品が落札

ゲームを使用した新しいアートの可能性(ゲーミフィケーション)をテーマにした「Digital Art Week Asia 2023」が、銀座のShinwa Wise Holdingsにて開催されました。作品を販売するアートフェアも兼ねたこのデジタルアートウィークは今回で3回目。国内外からデジタル分野を得意とする著名なアーティストが多数集結。展示会場には、ARアートや江戸のメタバース空間「EDO VERSE」の体験コーナーも用意されていました。

触れるeBoyのピクセルアート

まず最初に注目したのは、8ビットピクセル(ドット絵)を用いたアートの先駆者として世界中に多くのファンを持つeBoy。eBoyは、3人のドイツ人アーティストKai Vermehr(1964年生)、Steffen Sauerteig(1967年生)、Svend Smital(1967年生)により1997年に結成されたアーティストグループです。
彼らは、今回のイベントで緻密なピクセル都市景観「ピクソラマ」を展示していました。
イギリス、パリ、そして東京などの都市で見られるあらゆるものが1枚の絵の中でところせましとひしめいています。よく見ると、輪郭線がみなギザギザしているので、「あ~、ゲームの中にいるみたい」と感じます。

e-boy:Pixoramaシリーズ。展示風景より。

「ピクソラマ」の中でも、「Tokyo」は今回のために特別に制作されたものです。マルイやビックカメラの看板、銀座のLION、山手線の電車、渋谷の歩道橋など、見慣れた光景や行ったことがある場所が次々に出てきて飽きません。「幸せ」など日本語の文字を見つけるとなんだか嬉しくなります。至近距離で見ていると、絵の表面の線が凸凹と盛り上がっていることが分かります。

e-boy:PixoramaTokyo(Special Edition)。展示風景より。

思わず触ってみたくなる質感なのですが触らないように気をつけていると、なんとこの絵は、触っても良いように作られているとのこと!素材はアルミニウムなので、凸凹を感じながらいくらでも触ってOK。「ヤッター!」。友達と一緒に触りながら、「屋上でヨガをしてる人達がいる」などと、色々発見を共有して盛り上がりました。緑色のいかだに乗っている面白いキャラクターも見つけましたよ。

e-boy:PixoramaTokyo(Special Edition)部分。

このキャラクターは、単体でも作品になっていてキュート。

e-boyの作品

これらの作品は、実物やNFTで購入可能だそうです。Digital Art Week Asia 2023の来場者には、eBoyの記念NFTが先着でプレゼントされました。

河口洋一郎のヴェネツィア・ビエンナーレ出品作品も!

また、世界的CGアーティストとして活躍中の河口洋一郎さんの作品もありました。この展示空間はひときわ素晴らしく、なんと、1995年第46回ヴェネツィア・ビエンナーレ日本館代表作家として出品した作品である《Cell》と、2003年の映像作品である「Growth:Xenion」を併設展示していました。

河口洋一郎さんの展示コーナー

何はともあれ、約30年前のヴェネツィア・ビエンナーレに出品された作品そのものがこのように間近にあること自体が奇跡的。実物を展示することはほとんどないそうです!

1995年第46回ヴェネツィア・ビエンナーレ日本館代表作家として出品した作品である《Cell》

しかも初日とあってご本人も同席。この作品は、24個の瞳をモチーフにしていて、たくさんのレイヤーを重ねて制作したことなどを教えていただきました。

河口洋一郎さんと《Cell》(写真右)

映像作品の「Growth:Xenion」は、プログラミングに基づいたアルゴリズム成長モデルによって壮大な宇宙の時間と空間を具体化しているそうです。「細胞の繊細な動きは、全体の形状に大きな変化をもたらすエネルギーを具現化し、その緻密なマイクロパワーが、複雑に交差する全体の造形を力強い生命体へと変貌させる」などと説明を読んでいるとだんだんこんがらがってきますが......(笑)。70年代に、既に8K解像度を想定して作品を制作していた天才のなせる技!

河口洋一郎「Growth:Xenion」展示風景より

一瞬たりとも動きを止めることのない画面の中の生命体は、5億年後にも生きているかもしれない者たちです。河口さんが生きものが辿った5億年の歴史に学び、形の発生、成長、進化をプログラミングし、一定の法則のもとに数学的にシミュレートして生み出した生命体 なのですから。この生命体を見ていると、究極に変幻自在であることがサバイバルのヒントになるのかもしれないと思えてきました。

室町時代がパラレルワールドに!

21世紀の大都会東京にいながら室町時代の街並みを散歩しているような気分になれたのが、稲垣匡⼈さんによる映像作品《Shin-Kidaishoran" Muromachi 3-chome"》です。部屋の角を生かして、壁の2面を使った投影方法も効果的に臨場感を出していました。

稲垣匡⼈《Shin-Kidaishoran" Muromachi 3-chome"》展示風景より

稲垣さんは、大学で彫刻と現代美術を学び、さらにゲーム制作で20年以上の経験を積んできたアーティスト。アートとテクノロジーの間のギャップを埋める機会を考えてきたそうです。出展作品は、3D空間を用いたリアルタイムグラフィックスで画面を構成する室町時代の街並みを描いたそうです。昼から夜に変わり、町の人々が増減し、今ここにいる私たちの目の前で、画面の中に息づく別の世界が異次元の時間を刻んでいることが不思議。

稲垣匡⼈の作品

目の前を横切る犬たちは可愛いし、人々も動きがリアルなのだけど、私たちとは絶対にシンクロしない......。パラレルワールドなのかもしれないし、神様が私たちを見ているとしたらこのような視点なのかもしれないという風に、しばらく自分が生きる世界を客観的に感じる時間となりました。

会場内には、実際にアート作品としてのゲームをプレイできる部屋も用意されていました。

オブリストも巡回展を企画した期待のゲームアート

ここで、第1回から「Digital Art Week Asia」をプロデュース及びキュレーションされてきた、シンガポールのキュレーターWarren Wee(ウォーレン・ウィー)さんにインタビューしてみました。

キュレーターWarren Wee(ウォーレン・ウィー)さん

菊池:今回のデジタルアートウィークへのお客様の反響はいかがでしたか?
来場、オンラインともに教えてください。
ウォーレン:お客様の反応はとても良かったです。老若男女を問わず、幅広い層の方々にご来場いただきました。

菊池:特に人気の作品はどれでしたか?
ウォーレン:e-Boyの作品が人気でした。作品をみるだけでなく、触れたり感じたりすることができるため、ピクセルアートに新たな可能性がもたらされました。また、稲垣匡人氏による、リアルタイムグラフィックスで生成された「作品の中で生きている室町の町並み」も非常に好評でした。

菊池:売り上げはいかがでしたか?
ウォーレン:オークションでは80%の作品が落札されました。他の作品についても現在交渉中です。

菊池:海外の同じようなアートウィークと比較して、日本はいかがですか?
ウォーレン:海外のアートウィークと比べて、日本は技術開発において先進的な国のひとつです。デジタルアートウィークアジアのイベントが国内の来場者からもっと高い評価を得られることを期待しています。

菊池:今後日本で開催するにあたって期待することや、課題がありましたら教えてください
ウォーレン:今後は国内外の様々なアートコレクターに、デジタルアートの可能性に興味や関心を持っていただく展示会を目指していきたいです。

現在、世界を代表するキュレーターのひとりであるハンス・ウルリッヒ・オブリストが企画したゲームの展覧会「WORLD BUILDING Gaming and Art in the Digital Age」も国際巡回中です。オブリスト曰く「世界の人口の3分の1の人々がビデオゲームをプレイし、その多くがパラレルワールドでいくつもの違う人生を体験するようになった」昨今、ゲームを使用した新しいアートへの期待は高まってきているのかもしれません。

【イベント情報】※このイベントは既に終了しています
タイトル:Digital Art Week Asia 2023
会期:10⽉25⽇〜29⽇(10⽉28⽇18:00〜20:00はハロウィンパーティー+オークション)
会場:SHINWA GALLERY
住所:東京都中央区銀座7-4-12銀座メディカルビル
開館時間:11:00〜19:00(29日は最終入場14:00)
料金:無料

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