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お兄ちゃんになったよと息子につたえたら。

ある秋の夜。

夕飯終わりに季節外れの子玉スイカを家族3人で食べながら、息子に

大事な話があるんだ。

と切り出しました。

怪訝そうな、警戒した顔をする息子。
スイカを頬張りながら、何も言わず、こちらをじっと見つめています。

伝えるこちらもすこし緊張しながら、
大きく息を吸い込んで

お兄ちゃんになります!

と緊張と笑顔が入り混じったであろう不自然な顔で伝えました。

一瞬、ふいをつかれたような顔で固まる息子。

何も言わずにスイカの汁まみれの手をお腹に伸ばしてきたので
それはやめてーと思いながら、彼の手を拭いていたら

しばし考えて、

僕のスプーンとフォーク使っていいよ! 

と。
(お父さんに買ってもらった大事なハヤブサとコマチのスプーンとフォークなのです)

そこから始まる怒涛の質問とやる気発言。

赤ちゃんはなんで来るの?
赤ちゃんはご飯食べるの?
赤ちゃんはうんちとおしっこするの?
赤ちゃん、俺のオムツ使っていいよ。
赤ちゃんのお世話するね。
赤ちゃんが夜中泣いてたら僕、抱っこするね
赤ちゃんっておっぱい飲むの?

興奮は一向におさまらず、寝る直前までずーーっと喋りっぱなし。

そのほかにも、
お腹に話しかけたり、うちわで風をおくったり、お腹を撫でてみたり。

そういえば、こうやってちゃんとお腹に話しかけてくれたのは、息子がはじめてかも。

まだまだ姿が見えないので父母は少々半信半疑なのと、照れくさいのと。

息子に赤ちゃんの存在を伝えたとたん、
まだ見えないはずの赤ちゃんが突然存在感をもって、
我が家の空気の一部になった気がして、

もうすこし息子との時間を味わっていたかったな、とか
伝えるのもうちょっと後でもよかったかな、とか
思ってたよりしっかり受け止めてくれてよかった、とか

嬉しいようなもったいなかったような複雑な思いが入り混じった。


翌朝、起きてきた息子が、
赤ちゃんに話しかけたいというので、パジャマをめくってみせたら、
お腹を撫でながら

赤ちゃん、出てきたらだめだよ

とニヤリとしながら呟いた。

うーん、やっぱり前途多難?

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