ロートレアモン伯爵 Le Comte de Lautréamont (1846-1870)の誕生日 (4月4日) 仏詩人・作家


ロートレアモン伯爵  Le Comte de Lautréamont   (1846年4月4日 - 1870年11月24日 /別名義・本名 イジドール・デュカス Isidore Ducasse)  フランスの詩人・作家。

論評

生前はほぼ無名のまま、宿泊先で24年の生涯を終えています。

半世紀ほど後のフランスのアンドレ・ブルトンらシュルレアリストたちによって
「マルドロールの歌」Les chants de Maldoror がふたたび発表され、

その一節、
「解剖台の上でのミシンと蝙蝠傘の偶然の出逢いのように美しい」
が、シュルリアリストたちに
特に讃えられ流布されたそうです。

たしかに、この節が
シュルレアリストたち、
アンドレ・ブルトンの「シュルレアリスム宣言・溶ける魚」の詩文や
(ロベール・デスノスが得意にした) 半睡眠状態の口述筆記、
マグリットの絵画での無関係なオブジェを同一画面に並べる手法 (デペイズマン) と共通しており、

私は文庫本の「マルドロールの歌」が出版されたのを読むまでは
全編がブルトンの「溶ける魚」のごとく意味「不在」の「シュルレアリスティックな」作風なのかと漠然と思い、

ならば20世紀前期のブルトンたちが「シュルレアリスムの創始者」
という定義はどうなるのか、と心配すらしていましたが

読んでみると、内容的には過激ですが
文体的には特にシュルレアリスティックではありませんでした。

しかし先ほどの一節と、シュルレアリストたちが褒め称えていることから
なんとなく、そう思っている人も多いかもしれません。

幻の初版本 


📕 Librairie Le Feu Follet - Edition-Originale.com (フランス [パリ] の古書店) 公式ページ /「マルドロールの歌」初版本 「(出版) パリ, ブリュッセルの書店 1874, 12,5x19cm, ハードカバー。表紙とタイトルに1874年の日付がある希少な初版本。背に5本の上げバンド、尾に日付、カバーに金箔、背と見返しに櫛引き紙、カバーは保存され、頭部に金箔、アリックスのサイン入り。1869年にラクロワによって印刷されたが、この版は検閲を恐れて販売されなかった。わずか10部ほどが製本され、著者に贈られた(現在までに5部が確認されている)。1874年、ベルギーの書店兼出版社であるジャン・バティスト・ロゼズが在庫を回収し、表紙とタイトルページに1874年の日付を入れ、出版社名を伏せて出版した。ヤング・ベルギー運動の詩人たちがこのテキストを最初に発見したのは、彼の書店だった。」


(24年2月更新)





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