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名画に学ぶストレスに強い心をつくる方法ー懺悔するマグダラのマリア編

私は”自分の心を整える”ということに関心があり、美術を通して自分の内面を大切にすることができるのかと色々と考えてきました。

その結果今のように自分自身に素直に生きるということにたどり着きました。それがどうなっていくのかは自分次第なのですが、自分の中にある色々なブロックの抵抗が小さくなってきたように感じています。

そんな中、アート鑑賞と心を整えるというとても気になる本を見つけました。
「はじめてのマインドフルネス 心を鍛える瞑想」
クリストファ・アンドレ著

この本ではマインドフルネスのトレーニングについて、フランスの精神科医師が26枚の絵画を使って紹介してくれてます。12カ国語で翻訳されフランスでもベストセラーになった本です。

絵画とは、過去の偉人・歴史的事実・宗教や神話からの学びなどを視覚で感じるだけでなく、感動したり、悲しくなったりなどの感情にも働きかけるものです。

絵を見ることで観察力を鍛えたり、自分の頭で考えるということにもつなげる良い教材のような立ち位置にも使われたりしています。

そしてこの本のように精神的なトレーニングの大切なメッセージを、絵画の中に見出して伝えることができるなんて、絵は本当に自由に見ていいんだな!って感じたのです。

今日は、ここに書かれている”日常で立ち止まる時間を持つ”大切さを、一緒に紹介されているラ・トゥールの絵とともにお届けします。

マグダラのマリアはどこを見ているのか?

絵の中の女性、マグダラのマリアは、何をしているのでしょうか?
どこを見ていると思いますか?

ろうそくの光で作られる強い光と影の空間で、じっと座っています。体はこちらを向いてるけれど、ろうそくを見ているのでも、鏡の中を見ているわけでもなさそう。影になった黒い壁をぼんやりと見つめています。

私たちの方からは表情がはっきりとは見えないのですが、口元が少し開いているように感じるので、ぼんやり考えている感じを受けます。

手にしているの髑髏。
ろうそくの炎と同じで、髑髏も”命のはかなさ”の象徴です。

そして気がつきましたか?彼女の周りには豪華なジュエリーが捨てられるように点在しているのを・・・

娼婦だったと言われているマグダラのマリアは、その後懺悔と瞑想の生活を送りました。うわべを飾るということを表す装飾品や鏡。人はいずれ死ぬという運命を意味する髑髏やろうそく。これらは、過去を捨てて今の自分を見つめ、改心していくマグタラのマリアを意味しています。

この絵から、マグダラのマリアが過去を手放し今を見つめた姿を通じて、私たちは“今”を大切に生きることの重要性を再認識できます。
忙しい日常の中で少し立ち止まる時間を持とうというメッセージを受け取ってみる・・が今日のテーマです。

日常生活で立ち止まる時間を持ってますか?

日々がむしゃらに過ごしていると、あまり考えることなくあっという間に1日、1週間が過ぎ、えーもう月末?!ということありませんか?

やるべきことをして早く過ぎるのはいいけれど、自分が本当にやりたいことを無視して過ぎていく日々は恐ろしいものです。 

今の自分を大切にすることを改めて感じたのは、今年になって見たアメリカのドラマ『Time Travele's Wife』です。

原作は、ニューヨークタイムズのベストセラーリストにおいて28週連続でベスト10入りしたオードリー・ニッフェネガーの同名小説。この中で出てきたこんなセリフがありました。

人は結ばれない
人はただつかの間寄り添う。ほんの少し短い時間それでいい。
たとえ短い間でも幸せならそれでいいの。
いつか終わるとしても退屈な人生よりずっと素敵。
私からのおせっかいなアドバイス。
人性は短い 限りある今を大切にして

これは、彼が自分の運命の人なのか、彼と進んでいっていいのかと迷っている女性に対するアドバイスだったのですが、どんなことにも言えるなと思ったのです。

人は生まれてからは死へと確実に向かう日々のはず。

それなのにその間にある”今”を、過去に執着したり、起きてもいない未来を心配したり、他人の目を気にして、今の自分をほったらかしてしまう。

人生は短いからこそ”今”を大切に

マグダラのマリアが過去を手放し今を見つめたように、マインドフルネスの本には時に自分が「今」感じていることに意識を向けてみるために、手放すことが必要だと言っています。

手放すのはこの4つだそうです。

評価すること
選別すること
しがみつくこと
期待すること

評価することとは・・・自分のやっていることがうまくいっているか?効果が出ているかなど評価すること

選別することとは・・・快適なことだけでなく不快なことも受け入れる。それも存在してもいいと認めること

しがみつかないこととは・・・心地よさにしがみつかない。しがみつくとそれがなくなったときどうしようとまた不安になるからだ

期待をしないこととは・・・人や周りに必要以上に期待すること

私も過去の失敗にいつまでもクヨクヨし、未来に起こることを事細かに想像したりして、行動が止まることがよくあります笑

もっと今の自分が心地よくいられるように手放していきたい。
そして今やるべきことに集中したいと思っています。

絵をじっくりと見てみたい方へ

ここまで読んでくださってありがとうございます。

▼もう少し絵をじっくりと細部まで見てみたいという方は、こちらから美術館のサイトへ

絵をクリックすると画面いっぱいに絵が表示され、ズームアップもできます。

「懺悔するマグダラのマリア」ジョルジュ・ドゥ・ラ・トゥール 1640年頃 メトロポリタン美術館


このような”アートと心を整える”をテーマにした記事も、不定期ですがお届けしたいと思います。



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