雨よ恋 4

休校ではあったが、春休みの終わり頃に一瞬部活動は解禁となった。
待ってましたと各班から撮影に連れてけと催促のLINEが…。それぞれ追いかけたいテーマは複数持っている。

それでも密は避けねばならない。まだ肌寒いけれど窓は全開、同乗者も最低限で数度ほど撮影に行く。

テーマは自然だったり、ステイホームだったり…

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時にはこんな明け方に待ち合わせして、雲海を撮ろうとしたけれど失敗。

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まぁ それはそれで朝日が綺麗だったりしたのだけれど…

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いつも人を撮っている部員達が、コロナで人を避けて、自然に目を向けるのも新鮮な経験ではあったようだ。
勿論、各班とも散り散りとなり、海へ山へ街へ私が引率しなくとも撮影に…。
しかし、それも数日のこと。入学式前には、またも休校。部活動も停止。苦悩は続く。

4月5月、学年も変わっていたが、ほぼ何もできなかった。LINEなどでやり取りをするのみ。この頃、全国の休校措置の状況を鑑みて、写真甲子園事務局に〆切を延ばしてもらえるよう泣きの連絡をしたのも覚えている。

3年生になったAから、二度目の休校になって、すぐに連絡があった「先生、私のデータの〇〇と✖️✖️と…を外付けハードディスクに入れて渡してもらうことできますか?家でセレクトしてみたいんで」
世の中が自粛、ステイホームでピリピリしている時に? 
仕方なく近くの無人駅の待合室で人目を忍んで落ち合い、同じベンチの端と端に座り、まるで闇取引するかのように互いに違う方向を見ながらブツを渡す。

それでもさすが3年のA。実によく考えていて、3つくらいのテーマを説明してくれた。台風写真の話しも出たが、彼女はまだ別の新しい表現の方を追いかけていて、それを深々と考えていた。
彼女は横浜での高校生写真サミットで、青空を基調とした4枚組写真をまるで1枚の写真かのように発表して熊切先生の賞をもらった子だ。度胸よく、ハッとさせるテーマを捉まえるのが、いつも上手くて感心する。

いつの間にか、彼女が写真班の中心人物になっていたのは確かだ。


学年別登校日の度にデータを持って来て美術部のサーバーに移す日々。


悶々とした中、卒業生のパソコンに詳しい人に、クラウドサーバーの相談をする。
写真甲子園班それぞれのネット環境も調べる必要があった。

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5月半ばに、それぞれが家からパソコンでもスマホでも閲覧できるようなシステムとした。これは顧問の私がやってあげるしかなかった。ン万枚を班毎に分けて、縮小し軽データで閲覧できるように3日がけでした。

それでも一度に沢山のアクセスが集中すると動きが悪くなるので、必ず使う前にグループラインに「今から使いますよ」「終わりました」の自己申告制…。本当に面倒臭い。

この直後に、写真甲子園の締め切りが7月31日へ延長されていた。どんなカタチであれ中止にはしない。事務局の方々の熱意とフレキシブルな対応には、いつも感謝する。

少しホッとしたが作品完成なんて、途方もなく果てしない話だと実感していた。

                                つづく

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