雨よ恋 6

企業秘密などないのでぶっちゃけて書く…
「他の人がやったような作品はやらないようにしよう。」それだけは言っていた。ましてや自分の学校の先輩には影響され易いので、6月になってここ数年の先輩の作品を見せて、「せめて、これ以外で頼むよ」と言った。

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写真甲子園2017 『ぶち生きる』 初戦応募作品 ステートメント付き mono 小

最終形 2

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こうして見ると、やはり直近の先輩の作品に引きづられている年もあるのが気に入らない。そもそも自分だったら、こんな組写真なんか創らない。どの年も顧問的には不服…までではないが、積極的にそっちにはしないな…と言う本音が毎年ある。けれどそれも、自分とは別の人達がセレクトしているので仕方ないかなと思う。

写真甲子園本戦に行けようが行けまいが、その前に、自分達のやったことに後悔はないのか? 審査員に誉められたら喜べば良いのだけれど、チョットけなされたら落ち込むなんて、自分の信念が揺らぐのと一緒だ。指摘された部分があったとしても「はい。そこも勿論考えたんですが、私たちの結論はこうでした」「あぁ あの方には伝わらなかったのね」くらいまで突き詰めて考えていれば、あとからジワジワ自己反省すればいいのであって自己否定までする事はない。
東川町に行けるか行けないかは、選手にとって大問題なのは理解できるが、選ばれなかったとしても毅然とできるくらいでいて欲しいモノだ。


であるからして、むしろ、そんなところで先輩からの『伝統』なんて言われたくない。

同じ手を何度も何度も繰り返し、顧問が転勤したら転勤先で同じような作品が出てくるのもよく見かける。それしかないのか?と思う。「あんなに同じ事続けて飽きないかなぁ…」これはローリングストーンズについて語った坂本龍一の言葉。

また他の学校がやっているネタなど止めよう。直ぐに否定はしないけれど、『青春』?そんな言葉だけで誰が振り向く?文化祭のスローガンじゃないんだ。深く考えておいで…。どんな青春なんだ? 他の学校を真似ても、ウチは技術論なんて、ほぼ教えていないんだし、本当の感動もしていないのに、他校以上の作品などそうそうに撮れるものか…。たまたまどこかと同じネタになっていたりする場合もあるだろうけれど、全国の結果をよく出す学校のネタを頻繁に真似ている学校を見ていると厚顔無恥にもほどがあると思う。

真似されている方の学校…たとえば埼玉栄高校写真部などは日本屈指の写真部だと思っているが、毎年毎年、何年か前の作品を他の学校に真似られて、本当に気の毒に思っている。

検索するデータベースが写真の世界だけだなんて狭過ぎる。生徒がそっちへ行こうとするのなら、むしろ止めさせるのが顧問の良識だと思う。代わりにイバラの道を歩む苦しさはあるが、自分達で考えた結論に達することができた時、生徒には比べようも無い幸福感があるはず。そして他人に決められてしまわなかった記憶そのものが自己肯定感へ繋がる。
何かの賞を他人のチカラで獲った自己肯定感など、数年もすれば生徒は、よほどのバカで無い限り直ぐに見破る。そのとき、コンテストで名を上げる事に虚しさを感じるだろう。

誰かのを真似る…特に「素材の同じモノを使うと言う事は、同じような作品ができ易いと言う事です。だから当時僕は誰もやっていない段ボールに目を付けた」…これは段ボールアーティストで有名な日比野克彦さんの言葉だ。このように、誰かの言葉を引用するのと作品を制作するのは訳が違う。同じような作品ができたとして…どちらも見劣りがして両方損してしまうか、片方と比較し易いのでそこに優劣が付いてしまい易いと言う事だ。
手近に真似るのは、自分の考えへの自信のなさの現れ。「どうせ真似るのなら、せめて写真以外のジャンルから引っ張って来なさいよ。」そう思う。

まあ他人がやった事ないネタなんてモノは、そうそう無いのだけれど、競争が少ない方を選ぶのは、考え方としては真っ当だと思う。同じようなモノ同士で競争をするのなら、技術力大会だけに陥ってしまうのだと思う。


同じような熱弁をよくフルったので、生徒も深く考えた末、6月前半には当初あったテーマ…職人さん取材、校内青春モノ…またステイホーム、マスクなど今年誰もが行きがちなコロナ関係は、どこかと被りそうなので、(良い写真もあって未練もあったようだが)ほとんど消えていった。

さぁ そして残ったのは…やはり強風雨の中の写真。
これをどう考えるか…もはや班も解体し、個人個人でセレクトしては選評することになっていた。雨が降れば出かけて撮り足し、セレクトの繰り返し。何枚撮ったか?なんてよく聞かれてナンセンスな話なのだけれど、いつの間にか枚数も膨大なモノになっていた(多分ン万枚)ので、コンタクトシートを刷っては切り抜き、それを使って自分のセレクトを発表していた。やはりリモートでセレクト会議するより、小さくとも生プリントで選んでいく方がずっとやり易いそうだ。


それでもご覧の通りの数百枚。

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あーだこーだ。ホワイトボードに貼っては眺め、指差し議論する姿は、殺人事件捜査本部の会議みたいだ😅大体、この会議の時に顧問は呼んでもらえない。それぞれ個人で6〜8枚の組写真に決めて発表するときだけ呼ばれる。
「顧問は見てるだけ…」なんて言わない。「後で呼ぶから準備室に行ってて」などと言われる「はい はい」

6月半ばになろうとしていた。写真甲子園応募〆切は、全国的な状況の観点から再度延長され8月末になっていた。


世の中の状況は変わらないが、部員達の悪戦苦闘は進む。それでもまだ山口県はマシなのだ。まだ全然部活さえ出来ない地域が全国には沢山ある。

                                     つづく

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