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雨よ恋 8

中間テスト明け6月21日土曜日。
私は2年生の写真甲子園組の一部メンバーと撮影に同行していた。

テスト期間中に「メンバーを集めたのでどこか撮影に連れて行ってください」と2年のヤル気満々のメンバーから連絡が来ていた。いや、むしろ3年離脱宣言された顧問の気持ちを忖度してか?

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「顧問は見てるだけ…」なんて事はない。自分も撮影をするのだ。生徒の提案した稲荷神社も水族館も戦艦武蔵の記念館も、写真甲子園とはまったく関係なかったが、写真そのものが純粋に楽しめて良かった。生徒達も駐車場に大挙乱入してきた改造車ブンブンおじさん達に臆せず声掛けて撮影させてもらったり、いろんな抑圧から解放されていたように見えた。

中間テスト前の一件以来、多分、2年生達もそれなりに何かしなくてはおれなかったのだろう。

この日に日蝕があること、どんな写真が撮れるかなどテスト週間前に予備知識として情報が与えてあったので、「運が良ければそれも撮りましょう。」の予定になっていた。天気予報では曇り40%と微妙だったが、夕方のその時間帯30分前から突如、太陽は雲から顔を出してくれた。車を止めて撮影開始。

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木漏れ日、麦わら帽子の小さい穴を通過して、見事に太陽によってできた三日月だらけの模様が、顔に壁に電柱に道路に映った。部員達もかなり興奮したのだろう夢中でシャッターを切った。今日のトドメに、こんなに写真でワクワクできるなんて…写真甲子園メンバーがゴタゴタして下がりかけていた心情の中、写真そのものの楽しさを再確認できたのは、本当に良かった。天は我々に味方したかも知れない。


そんな折、撮影している一人に、別行動している2年からLINE通話が入る。同時刻、下松神社で撮影に来ていること。下松市でもバッチリ日蝕が観測できるとのこと。そして何とあの3年のAも一緒に撮影しているとのこと。

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先輩のAの方から仲の良い2年を誘ったらしい。
心がジンとした。あのAが…写真がキライになったのではないことが確認できたような気がした。日蝕と天候に感謝。

その後、この日蝕撮影体験を聞いてから、3年は一人を除いて、写真甲子園メンバーに戻ってくることになる。ただし二人は課外がない放課後に、アドバイスや感想を言うのみに回り、自分たちは文化祭のファッションショー企画をする方を主体にしたいと申し出る。それでもいい。学業も部活もやり切りたいのだ。

例のAは私に言い出しづらいのか、まだ根に持っているのか😅「また写甲やります」など一言も告げずにシレッとした顔でセレクト会議の席にいたりする。
意地っ張りとツラの皮の厚さは、彼女の宝なのかも知れない☺️


期末テストもあるので、実質、写真甲子園〆切まで1ヶ月無かったが、それよりも大事なのは写真との向き合い方だった。「締め切りに間に合わせる事だけ考えて、忘れているものはないかい?」彼女らの頭の上の方から誰かに言われたような気もしただろう。何もかも計画通りに行くはずもない。人間同士がやっているのだから。これも通るべき道筋だったに違いない。

何れにしても写真甲子園応組再起動である。


                                                                  つづく

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