雨よ恋 11

いつが終わりなのだ?と聞かれれば、〆切期限がその時なのだ。イタズラに完成を延ばした訳じゃないが、実は通るべき道を通って最短でここまで来たようにも思う。途中のつまづきも、必要なことに感じるのが、いつものこと。

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いつの間にかコンタクトシートを切り離したプリントも1.5倍になっていた。

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いいなと思う写真はあっても、「これだ!」というテーマがつかめない。そこに到達するまで延々とカルタ取りか神経衰弱をしているようだ。
仕方なく写真を説明するメッセージを先に書いてみることにする。同じ方法で結果が出ないのなら、方法を変えるのが得策かも知れない。もっと組写真のイメージが出来上がるかも知れないからと考えたからである。新しい方法でも直ぐに受け入れるのが美術部員たちの良いところだと思う。

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「雨の好きな女の子」「一瞬の風を愛する女の子」「超能力を持つ魔女」そんなところに絞られて来た。そんな会議を二、三度続けた。

少女の心情の表裏とか先月までは言っていたが、実質そこに写っているのは、豪雨の中、テンションが上がっている女の子だ。それは無視できない事にようやく気づいたようだ。
「雨風ではしゃいでいる女の子って観る人からすると不愉快ですかね?」そんな質問をする者もいたが、「いくら作り事でも『出るものは出る。出んものは出ん。』純粋無垢に楽しんだ事に対して人は不快になんかならないよ」と答えた。

土日だったが、そんなの関係ねえとばかりに皆、毎日集まって来ていた。

振り返れば6月末、上手くセレクトも進まなかった頃、モチベーションの差が個人個人で出来ていた。勿論モチベーションが低い者もいた。他の人がコンタクトシートを作っている間、ただお喋りをしていたり、まさかのスマホをいじくっていただけだったりしていた者もいた。私も気づいていたが、注意もせず本人達に任せていた。そういう子たちは、本気で取り組む人達を観て、それができない自らに何かしらを感じていた…のかも知れない。

それが7月半ばに入った今は、全員毎回集まって会議を本気でやれている。もう腫れ物に触れるような「いいよいいよ」だけのコメントもない。「どうしてこの写真にしたんですか?」のおざなり質問だけのコメントもない。「こうした方がいいと思う!」というズバっとしたコメントが多い。特に感想だけ言う係りに回った3年は責任無く言えるからか、コメントの切り口が鋭い。しかし、それに負けずに2年生も答えをちゃんと用意している。自分のセレクトに責任を持っているのだ。とても建設的な会議に様変わりしていた。

自主的に本気でやっている者があれだけいるのだから、志し弱い者も何かしら感じることがあるのだ。顧問は辛抱我慢がやはり大事かと思う。辛抱我慢とは『信頼』の2文字とも言える。そうなるためにも、パーソナリティを知る必要がある。日頃から部員達との会話、雑談が大事かと思う。

期限も差し迫り、コンタクトシートの切り抜きから、かなり枚数を絞り、少し大きい2L判プリントでセレクトを始めていた。

そんな折、ふとしたセレクトが出て来た。

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部長Hの提案。

アレ?今までのセレクトの良いところがいい感じに入っている。今年2月の全国高校生写真サミットでは藤岡亜弥審査員に「ガンコ」のお墨付きまでもらった彼女だったが、ガンコどころかチャンと成長していた。それまでの皆んなのセレクトの良いところを上手く集めていた。3年が彼女以外全員離脱宣言した時も、彼女だけはやり通す決意を持って、ずっと辛抱強く考え続けていた。その分、俯瞰して作品を見続けていたかも知れない。


待て待てと…けれども焦ってはいけない。このまま置いといて、明日また冷静になって考えようじゃないかと提案。

あと少しの手応えを皆が感じていた。
実質〆切5日前。

                   つづく

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