雨よ恋 Fin

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実質〆切2日前(期末考査週間の開始2日前)。昨年の9月から始まった一連の台風作品も10ヶ月目にしてようやく終わりを迎える。

あとはプリント。次の日の土曜日も休日だったが、全員集まって最終プリントをする。
最終的な微妙な色調補正、用紙に合わせたトリミング。それらはソフトのテンプレートなどには頼らない。自分達ですべて微調整をする。日頃からコンテストによく応募している2年のIやYが活躍する。勿論3年生も全員できるが、ここは2年生に勉強してもらおうと譲る。

紙やプリンターの設定、取り扱い。これが最後だと思えば、さらに慎重にやらなくてはいけない。

部内にあるプリント用紙の見本から『ピクトラン局紙』と前日に決めていた。
プリントの色調は、ほのぼのとしたお話しに見せたいので温黒調(ウォーム)に決定。

全員が見守る中、達筆な者が応募用紙を書き込み、役割のなかった者が、出品票を貼っていく。思えば、ここまでの長い道のりに、それぞれがそれぞれの役割を自分で察して行動した。最初から役割分担をして指図すれば早かったのだろうけれど、ここまでの達成感は得られなかっただろう。

学校によって、様々なやり方があるだろうけれど、希望したほとんどの者が最後まで、すべてに関わる方式は、それぞれが育っていくために必要なことかと思う。そこには出来るだけ顧問の命令が入っているべきではない。従順に育てられた生徒は手さえ挙げず決定権を他人に預けようとする。意見も言わず顧問の顔色を伺う。それは自分の『責任逃れ』のための自衛手段だ。しかしそんな大人がたくさん育ってもらっては困る。立木審査委員長が仰るように、アーティストにも写真家にもならなくていいが、無責任でつまらない大人にだけはなって欲しく無い。

昼過ぎには、すべての作業を終え、ゆうパックの封を閉じる。結果はどうあれ、皆んなやり終えたいい顔だ。ここまで頑張ってくれてありがとう。私も勉強になった。

………

走り切った本人達からすると、ここまでが本編。結果は、オマケのような話かも知れない。

写真甲子園2020 本校は中国ブロック代表5校に選ばれる。
中国ブロック進出校レビューでは、村上悠太審査員、公文健太郎審査員から高評価をいただき全員小躍り。特に「新しい」と言われたのが嬉しかったようだ。

そして本戦出場校に選抜枠で選ばれる。全員でハイタッチ。

次の朝、以前ホームステイさせていただいた東川町のSさんから空かさずお祝いの電話が入る。こんなところが写真甲子園を生徒に紹介したくなる理由なのだ。勝ち負けよりも、あの温かい人々を生徒達に紹介してあげたい。

そして本戦進出校レビュー。

立木審査委員長講評は微妙に立木節。そこいらの近所で雨の日に撮ってきたみたいに言われショゲていたりもした。…が、「むしろ気づかれない方がいいし、純粋に軽い話しに向いた方が、豪雨災害地域の方への配慮につながるのでは?」と言う私の言葉に気持ちを立て直す。

そして今回は順位はつかない。順位がつかないのは嬉しい😊上下意識が過剰になると顧問や生徒がトチ狂うからだ。比較を優劣のように感じた子どもは、いずれのこと写真を嫌いになる確率は高い。(フィンランド方式の教育だろうか…)そんな考え方は無いだろうか?立木先生仰る通り、将来、皆々アーティストになる訳じゃない。

とは言え審査発表されてみると立木義浩審査委員賞を一番に呼んで頂き、全員喜ぶ前に膝が折れ崩れた😅
「選抜枠でブロック審査通過したのなら全国で、どうせ17番か18番よねー」などと全く期待もしていなかっただけに信じられなかったようだ。


振り返ると作品以上に、自然と向き合うことの困難、社会の状況の中での困難、自分達の心の中との葛藤…様々な事を顧問も含め勉強させられた。それもこれも開催されていなければ、この学びと経験はできなかったのだから、応募できたそのものが喜びだった。こんなに紆余曲折していても、そう思えた。

コロナ禍、中止であってもおかしくはなかった状況で、諦めずにどうにか開催してくださった事務局をはじめ東川町、審査員の皆さま、Canonなど写真甲子園を大きくサポートしてくださっている方々へ深く御礼申し上げたい。
………




いずれにしても、これはとある学校の美術部のお話し。
本当は写真甲子園に応募する学校の一校一校にもドラマがあるはず。たとえ地区ブロック審査を通過しなくとも、写真に本気で取り組む学校には必ず長い長いお話しがあるはずだ。
いや、写真甲子園の映画だってできたが、あれに描かれている以上に、全国高校総文、高校生写真サミットや各種コンテストなど…結果が出れば華々しく見えるのだけれど、地道に一人で部活にも所属しなくとも、写真が好きで好きで、頑張って撮影し続けている高校生フォトグラファーだっている。

そんな高校生達一人一人のドラマに注目してあげて欲しい。

そんな高校生達のドラマにこれからも伴走できればと思う。


中間テスト真っ最中の2年生から昨日連絡が来た。
「先生、テスト明けの土日はコスモス撮りに行きましょうよ…」


「おー好きだねー」
またドラマが始まるといいな…と思う😌


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