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File.03 青木忠史さん(絵画)インタビュー

人との出会いから多くのエネルギーをもらっているという青木さん、地域の公民館で作品展示を行う中でお話を伺いました。

―― 現在の活動内容を教えてください。

絵を描くことを軸にしています。地域に密着して、地域の方々との関係を作りながら作品制作をしています。山形県の大学に通っていたのですが、卒業してから地元の長野に戻ってきて、長野や東京で年に数回作品の発表をしています。
ただ、コロナ禍でその展示ができなくなってしまうなどの活動の制限があり、リモートでの活動も増えました。普段の私の活動とは離れていますが、子ども達にリモートで美術を教えたりする活動の依頼を東京にいる友人からいただき、活動の幅は広がったと感じています。

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―― 絵を描き始めたきっかけを教えてください。

絵を描くことは小さい頃からから好きでした。本格的に始めたのは高3の終わりくらいで、当時は美術の予備校に通っていました。そこで先生や仲間と対話をする機会に恵まれ、刺激を受けて、この道がいいと思って美大に進みました。
表現方法には絵の他にも、音楽や立体など様々な手法がありますが、自分の中では絵という表現方法が一番合っているような気がします。絵は手を使って描きますが、身体を使って描くという行為が自分の中ではしっくりきています。

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―― 現在の画風になったきっかけを教えてください。

大学に在学していたときは色んな作家の影響を受け、自分自身が見えていませんでしたが、卒業後長野に戻ってきたときに、しっかりと自分の内面と対話する時間を取ることができました。
2010年くらいにぱっとイメージが浮かんできたんです。そのときは浮かんできたイメージに関心がなかったのですが、あるとき自分のオリジナリティーというものに徐々に関心が湧いてきて、スケッチを書き起こしてキャンバス作品にしました。その作品が自分の中でしっくりきたんです。それから現在の画風になっていきました。

ドローイング

―― 色々な画材に描いていますが、これはどういうものでしょうか?

これはドローイングといいます。キャンバス作品は作品のフィニッシュで、ドローイングは試行錯誤している工程のものです。キャンバス作品は完成させなければならないもので、それに縛られると窮屈になってしまうことがあります。そういうときに、ドローイングに立ち返って頭をソフトにすると、絵が呼吸しやすくなるというか、生き生きしてくれますね。

―― Instagramに命とのつながりをテーマに活動していると書かれていました。

命とのつながりは、人とのつながりです。今まで出会った人や、友人や地域の人。人のことを命と表現しています。出会った人々を作品に置き換えたりもしています。須坂の町で出会った人たちや須坂の街並みに接していると、見えないエネルギーを感じます。私は色々な方とつながることができるから人と出会うのが好きで、その中でそれぞれを思いやるというか、大切にするという意味でも、命をテーマにしています。

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―― 絵を描くことによって人とのつながりを実感されたことはありますか?

作品を発表していく中で、展示会場の近くに住んでいる方が来てくれることがあり、そこで色々と話す機会があったりして、だんだんと交流やつながりが増えていきました。
他にも、公民館で作品制作をしているときに、公民館の利用者の方が興味を持って話しかけてくださることもありました。

―― 長野を選んで制作する理由を教えてください。

生まれ育った場所で制作したいという意識は大きいですし、今まで愛情や思いやりを与えてくれた人に感謝して、作品を贈りたいという気持ちが自分の中にあります。
長野で制作する理由は、感謝の思いが大きいですね。
長野はとにかく人が優しいですし、作品を見て感心してくれる人も多いです。それと、自然に囲まれているので自分も癒され、制作場所が長野で良かったと思っています。
人と自然が優しく、生きやすい。表現活動をしていく中で、とてもありがたいことです。

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―― nextに登録したきっかけを教えてください。

友人の作家情報をネットで見ていたら、nextに登録してあるのをたまたま見つけました。nextを見たときに、長野県の中には表現活動をしている人がたくさんいるんだなと感じて、横のつながりを感じました。長野県内でも様々なアーティストとつながっていきたいと思い、登録してみたいなと思うようになりました。

―― 登録して良かったなと思うことはありますか?

人に認知されやすいことですね。自分の名前をホームページで検索すると、nextのページが一番上に出てきます。友人にも見たと言ってもらえて、活動を知ってもらえます。とてもありがたかったです。

―― 作家さん目線で、nextはもっとこうした方がいい! といったような希望はありますか?

長野県にはアーティストがたくさんいるので、横のつながりを持って交流を深めていきたいと思います。他の作家さんとのコラボなど、新しいチャレンジを企画していただきたいですね。
コラボで言えば、音楽活動している人と関わりたいと思っています。以前、小布施で境内アートというイベントでライブパフォーマンスをさせていただいたことがあったのですが、音楽をされている方とコラボしたことがありました。違う目線を得られるという意味で、とても良い経験になったので、またコラボできたらなと思います。

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―― 今後の活動予定を教えてください。

長期的な作品制作を基本としながら、来年は東京でグループ展を行います。
長野・東京で発表の場をさらに増やしていきたいと考えています。

―― 今後の目標を教えてください。

一人で制作活動をすることはもちろん大事ですが、ただ描いていくだけではなくて、人とのつながりを大切にしていきたいと思っています。まずは地域の方々とさらに深い関係を築いていき、心の奥底に届くような作品作りをしたいですね。その後他県や世界に出ていき、様々な方と出会い、自分の活動範囲を広げていきたいという思いも持っています。
また命というテーマはこれからも描いていきたいと思っています。その中で、見てくださった方に心を動かす何かを届けたり、生きる喜びを与えたいです。作品を見てくれた方が何かを始めるきっかけになれるような存在になりたいと思っています。

<略歴>
1990年 長野県須坂市生まれ 
2015年 東北芸術工科大学芸術学部美術科洋画コース卒業
<活動歴>
・個展
2013年 「夢に見た世界」 (ギャラリー絵遊/蔵ダイマス、山形市)
2017年 「あなたと私の呼吸」(ギャラリーQ、東京)
2018年 「DELUSION|私のそばに存在する世界」(ギャラリーQ、東京)
2018年 「妄想トーン」アートメント長野フリンジ長野 (ギャラリー豆蔵 長野市)

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(取材:「信州art walk repo」取材部 町田弘行・近藤衣里子・清水康平)

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