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【セルフインタビュー】謎解きゲーム「PARALLEL BOX」の箱に詰まった思いとは?(第5回)

2019年7月にスタートした箱なぞ型リアル謎解きゲーム「PARALLEL BOX」シリーズ。新作『TRAVELERS』が来月3月21日に福岡でスタートします。開催を記念し、過去4作の想いと新作について「インタビュー」形式でお伝えします。

前回の記事はこちら
「Cage」について

【第5回】
BOOM! in the BOXについて

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――あっという間に第5回、終盤戦へと突入してまいりました。

そうですね。ついに名前まで書かれなくなりました(笑)

――本当だ!もう5回もやってるのでそろそろ覚えていただけてるかなと思いまして(笑)

分かりました。きっと覚えていただけてるだろうと信じて進めましょう。

――続いては、2020年1月にできた新作「BOOM! in the BOX」ですね。

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そうですね。愛媛からスタートした今年初の新作ですね。実はこれについては、過去3作と全く異なる点が沢山ありまして。

――全く違う点というのはどういったところがありますか?

まず、ストーリーがほとんどない!と言うところにあります。

――ストーリーがほとんどない!

はい。全くないわけではないのですが、本作はギミックメインで作っています。

――なるほど。それに至った決断など詳しい話があればぜひ教えてください。

そうですね。そもそも、ストーリーを重視した作品を出してきたARROWSが「物語」というアイデンティティを失ったときに何が残るのか?という挑戦をしてみたかった。そして、新しい何かを習得しようと考えた時に、電子ギミックが面白いだろうと。Cageを制作するタイミングで電子を使った箱になることはすでに決まっていたので、ならばギミック重視で行こうとなりました。

――なるほど、かなり早い段階で決まっていたわけですね。

そうですね。探偵とイーハトーブが「ストイック」と「パーティー」で対比の関係にあるように、CageとBOOM!も「アナログ」と「デジタル」で対比を出せればある種のシリーズとしても面白いだろうと。

――過去の作品が積み上げてきた軌跡は守ろうと。

はい。ただ、問題は電子と言ってもいっぱい方法がある。アプリなのか、プログラミングなのか。界隈の大部分の電子ギミックに使われている基盤は「Arduino」という処理ができるマイクロコンピューターを搭載したもの(※5)が多く、大体加速度、液晶や音などのセンサを使った謎は、既にやられていたので、何かしら差別は図らないといけないと思っていました。その結果、出てきたのが「micro:bit」との出会い(上ツイートの青と黒色の基盤)でした。

――そうなんですね。ちなみに今出てきた「micro:bit」についてもご説明いただけますか?

はい。イギリスの公共放送局であるBBC(英国放送協会/British Broadcasting Corporation)が中心となって開発した教育用の小型コンピューターボードです。いろんなセンサやスイッチが搭載されているので、初心者の方でも簡単にプログラミングができるものです。2020年度の小学校におけるプログラミング教育の必修化が始まる際に、注目されているものということもあり、いけるんじゃないかということで、今回の作品に導入しました。

――なるほど。じゃあ誰でもできる可能性があると。

micro:bitはブロックプログラミングと言って、例えば「Aボタンを押す」と「止まる」みたいなプログラムが、既にブロックとして導入されています。ある程度の仕組みを知っておく必要がありますが、基礎を習得してしまえば積み木を組み立てるような感じで、あっという間にプログラムが完成します。
僕自身は学生時代、電気電子科でHPやプログラミングデバイスを勉強していたこともあり、C、C++、JavaやObjective-Cといったプログラミング言語を少し勉強していたこともあって導入は苦ではありませんでした。むしろ、ようやく学生時代に勉強してきたことがn年越しに生かせるぞと。

――ようやく、学校に行った成果が表れたわけですね。

そうですね。ようやく親に向けて「学校に通わせてくれてありがとう」と言えそうです。

――ちょっと話が専門的なところに行き過ぎたので少し戻りましょう。今回、電子ギミックを作るうえで色々と考えたこだわりなどがあれば教えてください。

ギミック重視とはいえ技術を見せるだけではつまらないので、謎とどう絡ませるかが問題でした。そして、机の上で完結するためにいろんな情報が展開することでしょう。ひらめき、決断力、注意力など、これまでの3作よりも探索や情報を整理する能力が必要になってきます。これまでのような哲学的な何かはありませんがその分、「わー!」と楽しんでいただければ幸いです。
また、今回は過去3作と違い、1人1個ずつ箱が必ず用意されているので、必ず1人ずつ触ったり楽しめるように設計しております。

――なるほど、前回のような「物量的な整理整頓」は必要ないですか?

過去一で紙の量も少ないです。謎は過去3作に比べかんたん目なので、どちらかというとはじめて謎解きしていただく方におススメかもしれません。

――ありがとうございます。ちなみに、今回はシリーズとしては初めてとなる[Lite Edition]が仙台でスタートしますが…

そうですね。実は、そもそもフェス用に作ろうと思っていたので、それぞれの箱で独立・完結するように作っていました。アナログとは違い、プログラムを書き換えるだけで準備ができるので、今後いろんな形で出てくるかと思います。愛媛でやった公演をノーマルとするならば、そのまま個別にして出すようなことはしません。アレンジを加えたものになりますが、形式は似たようなものだと思っていただけると嬉しいです。
新しくEditionが生まれるということで、またこれも、1つ、表現の多様性として面白いのではないかと考えている次第です。

――さらに、ARROWSとしての表現が広がるということですね。

そうですね。これがうまくいけば、これまでの作品にも箱だけでない新しい何かしらの表現ができてくるのかもしれません。カフェ謎も作ってみたいと思っているので、確実に電子ギミックは今後入ってくることでしょう。ぜひ、未来のARROWSを楽しみにしていてください。

――ありがとうございます。では、最後の箱…

【最終回】
「TRAVELERS」と今後のARROWSについて

に続く...


(※5)マイクロコンピューターを搭載した基板・・・例えば、エアコンやリモコンなどがそれにあたる。


お知らせ

<PARALLEL BOX Series 全国ツアー2020>

2月11日(火・祝) 東京渋谷公演(Cage)
2月15日(土)   仙台公演(BOOM! in the BOX)
2月22日(土)   横浜公演(イーハトーブナイトメア・Cage)
3月  1日(日)   札幌公演(イーハトーブナイトメア・Cage)
3月21日(土)   福岡公演(Cage・TRAVELERS)

※各公演の詳細については各ページのリンクをご覧ください。

<ARROWS公式ホームページ>


<ARROWS公式Twitter>




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