ノートに書かれていた言葉

以前、私が指導していたA君が、ある団体のチャンピオンになりました。
結果を知り嬉しくなって電話をかけました。
話を聞いてみるとA君は、試合中に骨折を負う様な状況であったにもかかわらず見事に勝利。そんな中よくがんばったなあと労うと、
「数年前、試合で負けた後ホテルの部屋に3人でいた時に、先生が言ってくれた言葉を自分の先輩がノートにとっていて、それから僕は、そのノートの言葉をみて頑張ってきました!」
「あの時の自分には目を背けたい内容で、そのノートに書いてあることを受け入れるのに数年かかりました。」
そんな事があったなあと、そのノートの内容を写真で送ってもらいました。
その時のやりとりが、3ページにわたって書かれていました。
読み返すと、当時の情景が目に浮かんできました。
あの時、私がA君に一番伝えたかったことは、
「立ち向かっていく事が格闘技の本質だ!」という事でした。
相手や困難にむかって行く姿、倒されても立ち上がってむかっていく姿に、お客さんは心を揺さぶられ感動を覚えるんだと思います。
それを体現するのがプロだと私は考えております。

リングは人生の縮図、どんなに取り繕っても嘘偽りの無い自分が出てしまうのです。
「涓滴岩を穿つ」(けんてきいわをうがつ)という言葉がありますが、絶え間なく岩に落ち続けた小さな雨粒が、やがて岩に穴をあけるように、A君は、やり続け・想い続けてきたのだと思います。

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