言葉の力


少し時間が経ってしまいましたが、今年の箱根駅伝は青学が優勝しました。
懸命に襷を繋いでいく選手の姿は、観ている人の心を揺さぶります。
だから長きにわたって続いているのでしょうね。
私は、選手の走りは勿論、特に監督の掛け声に注目して観戦しております。
各校の監督さんの、熱意の伝わる掛け声が要所で飛び交いましたが、なかでも青学の原監督の掛け声は、選手を落ち着かせ、ここぞと言う時に気持ちを鼓舞する素晴らしいものでした。
普通だったら、前の走者とのタイム差を言ってペースを上げていけと言ってしまいがちなところを、「そうだ!ゆっくりいこうか!」
しまいには、「青学もいい、早稲田もいい、○○もいい、みんなで駒沢を追いかけよう!」
言われたほうの選手は、心に余裕が生まれると思います。
これは試合の時のセコンドの掛け声、インターバル中のアドバイスにも同じことが言えると思います。

では、日常の練習ではどうでしょうか?
私の師匠、積田先生の口癖は、「トレーナーは、サーカスの猛獣使いと同じ、飴と鞭を使って選手を導いていくんだ」でした。
飴と鞭と言っても、言葉の飴の鞭ですが、先生の発する言葉の威力・タイミングは本当に凄くて、ある時は物凄い自信につながるし、ある時は畜生!今にみていろよっていう気にさせてくれるのです。そして改善の兆しが見えたら、「そうだ、それで良いんだ…」
難しいところが、駄目な部分があった場合、あんまり駄目だ!駄目だ!と言い過ぎると、選手は自信を喪失します。だからといってそのままにしておくわけにはいきません。
さあいったいどうしたら良いのでしょうか?
やり方は色々あると思いますが、駄目なことは現行犯で捕まえて対処することが必要だと思います。1日に1つ、それ以上は口出ししない。
駄目な理由と理想形を伝え修正していくのです。
それを選手が納得して取り組み、体に染み込むまで繰り返す。
良い兆しがみえ、改善されてきたら言葉で鼓舞する。
良くなるまで根気よく継続することに尽きると思います。
トレーナーは、死んでも絶対直す位の気持ちで取り組まないと、途中であきらめるようになります。
ある意味、選手との根比べですが、真剣な心の底からの叫びは、相手の気持ちに響くはずです。

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