映画ドラゴンクエストV your stories の感想、批評
はじめに
ドラゴンクエスト初の映画作品として8月2日に公開された本作。今日はその感想を綴る。ネタバレを容赦なくするためそこは注意してもらいたい。尚私は既にゲームのドラクエVをクリアしている。
見終わった後、頭にはこの言葉が浮かんだ。
な ぜ そ の 結 末 に し た
であった。
オチについて
オチにはドラクエシリーズにもっとも混ぜてはならない劇薬が仕込まれていた。
「現実」である。
補足だが歴代ドラクエシリーズはメタ要素すら皆無、プレイヤーがゲームの世界に没入できる環境が必ず存在していた。そこでプレイヤーは主人公として冒険に、世界に没入していた。
本作もオチまでは多少の違和感こそあったものの物語として進行していた。魔界を福音し世界は救われた!と安堵。だがオチの部分、ラスト5分でそれは覆される。突如現れたゲームのウイルスなるものが告げるのは、
・これはドラゴンクエストのゲームであること
・ここは仮想空間でありプログラムだということ
・ゲームは現実に反映しないから意味がないこと
であった。
発言内容からして、ゲームに理解のない両親がエンディング直前に無理矢理現実に引き戻すかのような発言である。だが今回はその方がよっぽどマシだったと言える。言えてしまうのだ。
世界観を壊さぬよう守ってきたタブーを最後の最後に自分から盛大に壊しにきたのだ。
シリーズを一貫しほぼ無口で通していた主人公、伝統的な感情移入しやすい作りが事態をより悪い方へ運んだ。
そしてこのオチは急造ではなく最初から決まっていたというのもよりダメージを増やした。
伏線回収について
それは副題にある。あなたの物語でありゲーム開始前にオプションキャラ、スキルなどの設定を変更できることはあなたのための物語として伏線を回収している。幼年期大幅カットや潜在的なフローラへのラブもそれによるものである。キラーマシン含め、急造では付けられないような設定やシーンが多く疑いようがない。
作り手側は真っ向からタブーに踏み込んでいったのだ。監督はドラクエVを、いやドラクエシリーズをやったことがあるのだろうか。
良かった点など
ここまでオチについて全否定してきたわけだが無論全てにおいて悪かったわけではない。
映像はフル3Dで丁寧に作られておりとても綺麗、すぎやまサウンドもシリーズから選りすぐりをかいつまんでおり良かった。ストーリーもオリジナル展開が多かったとはいえオチ以外はこれもアリだと納得できる内容だった。
主な変更点としては
・マリア、ニセたいごう存在せず
・3種のリング存在抹消
・妻が実は天空人の末裔
・子供が男の子のみ
などなど。
最後に望むこと
公開した以上もう無かったことにすることはできない。続編を作るかは現時点では一切不明だがもし作るのだとしたら、世界観を壊さないオチでストーリーを完全補完したドラクエVIを見てみたい。前後編で。