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Weekly Forecast USD/JPY

日米国債のイールドスプレッド(利回りの差)の拡大がドル円を押し上げています。
9月のFOMC以降、10年国債の差は20ベーシスポイント拡大しました。
新政権では、さらなる緩和と大規模な景気刺激策が実施されるのか?

過去3週間の日米の国債の利回り差の拡大により、ドルに対する市場の見方がネガティブになっているにもかかわらず、ドル円は急激に上昇し続けています。
金曜日の114.42への急上昇は、月曜日のオープンから1.96%上昇し、2018年10月4日以来、ドル円の最高値となりました。

岸田新政権

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10月31日に投開票される衆議院選挙後には、日本政府から再び巨額の景気刺激策が打ち出されるとの海外投資家の見通しから、円の動きが鈍くなりました。

新政権は、パンデミック以降、日本経済の大きな問題となっているデフレを防止するために、さらなる金融緩和と支出を提案することが予想されています。

日米国債のイールドスプレッドの拡大

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9月22日にFRB以降、日本10年国債と米国10年国債のイールドスプレッドは、4.5ベーシスポイントから20ポイントに拡大しました。今週は、日米の国債利回りがわずかに低下したため、米国債とドルに優位性が残りました。

市場では、FRBが11月3日の会合で、テーパリングの開始日および削減額を発表することを想定しています。

日米のインフレ

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日本では、9月の生産者物価指数(PPI)が前年同月比6.3%の上昇となり、2008年9月以来の大幅な上昇となりました。一方、全国消費者物価指数(CPI)は、9月時点で年率-0.4%と11ヶ月連続でマイナスとなっています。8月の鉱工業生産は予想を下回り、年間ではマイナス幅が拡大しました。

米国では、9月の消費者物価指数が5.4%に上昇し、過去13年間で最高となり、コア指数も4%にとどまりました。9月の生産者物価も同様に上昇し、今後数ヶ月の間にさらなる消費者物価の上昇が見込まれています。PPI(前年同期比)は、8月の8.3%から8.6%に、コアは6.7%から6.8%に上昇しました。

米国の、9月の小売売上高は0.7%で、予想の-0.2%を大幅に上回りました。8月の売上高も0.9%増に修正されています。しかし、ミシガン大消費者信頼感指数は、8月/9月とも過去10年間で最低のスコアを記録しています。

WTI原油先物価格は、81.97ドル/バレルと過去7年間で最高値を更新しており、産業・消費分野でのインフレ圧力が引き続き急増することが確実視されており、特に、日本経済に与える影響は懸念されています。

ドル円の見通し

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国債のスプレッドが拡大し続ける限り、ドル円は上昇する可能性が高くなります。

金利差が安定したとしても、日本と米国の政府の金融・財政政策は正反対の方向に向かっており、FRBはパンデミックの緩和政策からの撤退を開始しようとしており、日銀は流動性と支出を拡大しようとしています。

日本の新首相にとっての最初の経済的任務は、日本経済を再生させることです。過去を見ても、円安は日本政府が日本の輸出産業を支援するために用いてきた手法のひとつであり、新政権は、115.00円/ドル~120.00円/ドルを目標して定めてくるかもしれません。

日本の9月の輸出入データが10月20日に発表されます。対前年比は、まだパンデミックの影響を受けており、不自然に高い数値となっていますが、9月の全国消費者物価指数は、引き続きデフレ傾向にあり、政府のさらなる財政出動や日銀の緩和を示唆するものと思われます。

アメリカの9月の鉱工業生産と住宅市場のデータは、ドルに対する見方を維持する流れになるかもしれません。 

FRBが公表する地区連銀経済報告書(ベージュブック)は、通常はグレーな内容が多いですが、テーパリング発表の可能性が間近と予測される今、物価上昇を示す証拠が政策担当者を後押しし、議事録で示唆されていたよりも速いペースで買い入れを縮小させる可能性があります。ボトルネックが緩和される兆しが見えれば、市場は冷静さを取り戻し、ドルの重荷となるかもしれません。

ドル円のセンチメント

海外市場の予測は、短期的には強気な観測となっていますが、最終四半期末までの予測はそこまで強気ではありません。

ドル円 週足・日足テクニカル

USDJPY 週足(2012年10月16日)

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前回のFRB会合の日である9月22日の始値以来、ドル円は4.68%上昇し、今週は1.8%上昇しています。
9月22日に上昇を開始する前は、青MAにそってローソク足が推移する展開が続いていました。レートの上昇に伴い紫MAも上向きに変わりつつあり、青MAとの乖離を埋めつつあります。週足で見る限り、ドル円は底堅い展開が予想されます。

USDJPY 日足(2012年10月16日)

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日足では、8月から紫MAに沿ってローソク足が推移しています。
9月22日からの急上昇で、紫MAは上向きになり、青MAも上向きのまま赤MAを上抜けする勢いになっています。
ただ、急上昇のため、紫MAとローソク足の乖離が拡がっており、小動きのままローソク足に紫MAが追いつく時間調整となるのか、ローソク足から紫MAに向けて動く値幅調整となるのか、週明けの状況で見極める必要があります。

<参考:チャート設定>
紫:60SMA 青:240SMA 赤:720SMA 茶:2880SMA
水平線:(週足)キリ番毎1000pips (日足)キリ番毎100pips


<免責事項>

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