イヌワシの巣材採取を近くで観察出来たのは初めてである。いつもは遠くの標高の高い斜面でイヌワシの動きから巣材採取と推定して飛んで巣材を持っていることが目視された時点で判断していたが今回は近くで観察することが出来た。 巣から出た個体は谷の中を下を見ながら飛んでいる途中、急に降下して谷の低い斜面の枯れた松に止まり、取れそうな枝を探してからその狙いをつけた枝を脚で掴み体重を掛ける。それでも折れないのでその長い両翼を大きく羽ばたかせ、その勢いでやっと脚に巣材を持つことができた。
年末からの寒波でフィールドは豪雪状態になり観察に入るのがほぼ無理な事態が続いている。この時期は繁殖活動が活発化してくる変わり目の時期で観察に行けないのは歯痒い。住んでいるところは冬型が強くなる地域との境界あたりに位置しており、自宅では晴れていてもフィールドでは大雪のことが多い。今まで何度失敗したことか。しかし気温は低い。特に湖上から吹きすさぶ寒風は体温を容赦なく奪い取り全身の筋肉が硬直する。こんな夜、よく思うことがある。彼らはこんな凍て付く夜をどのように過ごしているのか?密閉
イヌワシと同じ高さの視線で目があうのはなかなか無い。尾根で観察している尾根と同じ高度をたまに滑空して来るチャンスがある。機会を逃さないようにと双眼鏡でイヌワシの表情を見る。彼らの視線ははっきりしている。こちらの存在に気付くとチラリと視線をよこすと音もなく滑空して上流に消えた。
一般の方が猛禽類を近くで見ることは稀有である。生活圏が異なることもあるがヒトが彼らの生活圏に入った場合でもヒトの姿を見るや否やたちまち離れた地点に飛んで移動してしまうことがほとんどである。 イヌワシやクマタカを観察する際の距離については様々な意見がある。もともと、動物は人間を恐れているので野生動物を観察すること自体彼らに何かしらの良くない影響は与えていることは自明である。その意味では距離だけを取り出して評価することはさほどの意味は持たようにも思える。ただ、観察していると猛禽
仕事で10日間ほど行けなかったフィールドに。 4月に入り孵化は確認できたが前回はメスが巣を離れる回数と時間が増え、育雛に失敗したのでは?とこの間ずっと心配していて昨日はその確認のために山に入る。 青空を背景にして新緑が萌える。急斜面を登る時にはウルイの柔らかな浅葱色が目に飛び込み、あちこちから春の草木の匂いが湧き立つ。早朝の風は冷たく、イヌワシの営巣谷を見上げる斜面でダウンジャケットを着込み簡易ブラインドの中で身を竦める。しばらくするとにメスが巣に戻る。同時に鳴き交わしが始
自粛生活期間中は街に出ることを避けてフィールドに通うことにしている。今まで週末がメインのフィールド調査であったが、平日に連続で通うことにより様々なことを観察できるようになった。特にイヌワシの生活サイクルについては、今まで書籍や文献に書かれていたことを検証できるようになった。
今日からこのプラットホームを利用させていただきたいと思います。私のnoteでは仕事以外にライフワークとして行ってきた猛禽類や野生動物に関するフィールドでの観察報告や想いを綴ります。日本の特有の自然環境の中で見られる様々な出来事を写真を交えて報告していきますのでどうぞよろしくお願いいたします。