リリア・アナリーゼ

皆さんはじめまして、2回生でDTM班所属のトラギカと申します。

今回がブログ初投稿になります。


個人的な話で申し訳ないのですが、私はクラシック音楽で育ってきた人間なので、ボカロ曲に関してもクラシック的な観点で捉えて聴いていたりします。

なので、表で歌われているメロディーの裏に対旋律が現れたり、ある曲に登場したモチーフが同じアルバムの別の曲に出てきて曲同士が関連付けられたりするとものすごく興奮するんですよね…。


というわけで、今回ご紹介するのは


Fairy Tale Projectさんの「リリアシリーズ」

という曲集になります。


百合です! ←ココ重要!




第1曲「ヴァイスリリア」(初音ミク・IA)

冒頭、印象的なピアノの速弾きパッセージが奏でられた後に、

IAとミクが「叶わぬ恋」に溺れていくさまを歌い上げています。


もっとも何をもって「許されない」「禁じられている」「叶わぬ恋」としているのかについてはまだまだ考察の余地がありそうですが…。

曲はロ短調で、Bメロにヘ長調と変ロ長調をかすめる箇所があるとは言え、全体的に暗く、かつ尖った曲調に支配されています。

注目すべきはラスサビ!
ここで曲はハ短調に転調するのですが、IAが歌うサビのメロディーに、途切れ途切れではありながらもミクが対旋律を被せてくるんです!

筆者、大興奮。


曲はこの後、冒頭のピアノのパッセージが回帰してきて、途中でブツッと唐突にスイッチが切られたような形で終わります。



第2曲「ロートリリア」(鏡音リン)

前曲を早送りするという斬新な開始にも表れているように、この曲は前曲に密接に関連しています。

歌われている内容は、ヴァイスリリアを歌っていた二人のどちらかに想いを寄せていたにも拘わらずそれが叶わなかったことに対する後悔と嫉妬

またリンがその相手と親しい間柄だったことも窺えます。

さながら『やがて君になる』の佐伯沙弥香のような…。

曲は絶えず嬰ハ短調とハ短調の間を行き来しており、1番が嬰ハ短調→ハ短調、2番がハ短調→嬰ハ短調になります。

テンポの速さとリンの声がめちゃくちゃ高いことが何よりもまず印象的で、例えばモーツァルトを論評する際によく用いられる「疾走する悲しみ」という形容がそのまま当てはまる曲調になっています。
(もっともテンポは全曲とも同じだそうで、この曲だけ特に速く聴こえるというのはあくまでも個人的な体感です。)


曲は再びハ短調に転調して閉じられるのですが、ラスサビが終わり、後奏が徐々に収束する中で浮かび上がってくるのはなんとヴァイスリリア冒頭のピアノ音型!!


これに気付いた時は感動しましたよ本当に…。



この曲が前曲と密接に関連しているのはイラストや歌詞からも一目瞭然ですが、音楽的にもここまでしてくれるともはや感無量―




第3曲「シュヴァルツリリア」(GUMI)

昨年末に投稿された新曲です。 PVのイラストでGUMIの隣にミクと思しきシルエットが描かれているので、この曲はGUMIがミクへの想いを歌った曲ということになります。

とすると前曲ロートリリアでリンが想いを寄せていたのはIAということになるのでしょうか。

歌われている内容からはGUMIがミクに対して非常に依存していることが窺え、いわゆるヤンデレのようなものを感じさせます。

曲はヘ短調で、Aメロで一時ニ短調に転じ、ラスサビもト短調となるなど終始フラット系の短調が採用されており、シャープ系の調性による前2曲(ヴァイスリリアがロ短調、ロートリリアが嬰ハ短調)とはまた異なった趣を持っています。


また、この曲は3曲の中で唯一、主和音で閉じられる曲でもあります。1曲目はブツ切り終止、2曲目は弾き切ってこそいるものの主和音ではないため、この曲が最も終わりらしい終わり方をしていると言えるでしょう

今後リリアシリーズに新曲が追加されるかどうかはわかりませんが、現状では曲集を締めくくるに相応しい終わり方だと思っています。



長くなりましたが、こんな感じでFairy Tale Projectさんの「リリアシリーズ」をクラシック的な観点から紹介させて頂きました。

3曲とも緻密に構成された素晴らしい名曲なのでもっと注目されるべきだと思うんですよ…。




それから皆さん、


百合はいいぞ!




百 合 は ! ! い い ぞ ! !



ありがとうございました。



(推敲:劣等感)
(編集:かしま/みかん)

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