現場職員が考える良い施設介護vol.1

介護サービスは、施設介護と在宅介護の2種類がある。

施設介護は施設に入居、入所されている方に提供される介護サービスを、

在宅介護は家庭で介護を必要とされている方に提供される介護サービスを表している。

良い介護とは何だろうか。

私は施設で働いている者であり、在宅介護の実践経験は無い。

なので、自分で考える材料の多い「施設介護」にしぼる。

良い施設介護とは何だろうか。

介護に興味がある方はもちろん、

介護に興味が無い方でも、サラッと読んで頂きたいと思って書いてみる。

今回は「現場職員が考える良い施設介護とは何だろうvol.1」ということで

「施設介護の世界にうずまきがちな心理」をとりあげたい。


私は在宅介護の経験がないので、施設における「良い介護サービス」について考える。

施設介護では、サービス利用者が一同に集まる中でひとりひとりに対する介護サービスが行われている。ご利用者それぞれの部屋があるが、1日のうち多くの場面で生活を共にされている。そのため、サービス提供に際しては、個人の益に加えて、共同体の益も考えてサービスを実践していく必要がある。

ところで、介護サービスについて留意したいことがあって。

それは、サービス利用者の立場が、サービス提供者に比べて低くなりやすいということ。ひらたく言えば、助けを必要とする者と、助けを施す者とに区別されるため、

サービスを提供する側の心理として「こちらの都合を融通してもらえないのなら、助けてあげないよ!」という考えに陥りやすい。

ましてや介護保険という仕組みの中で賃金が支払われている為に、目の前のサービス利用者から直接、サービスのお代を頂いているわけではないため、利用者が介護者に対して感謝することはあっても、介護者から利用者へ感謝する場面が少ない。

施設介護であっても、通所施設(=寝泊まりはしないサービス型、例:デイサービスなど)であれば、ご利用者の出入りの際に「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」と伝える場面があるだろう。

しかし入居施設(24時間の生活支援)を利用されている方へサービスする場合はそのような場面もないために、ますます介護者側からご利用者へ感謝を伝える機会が減っていると言える。

施設入所に関して、たとえば他のサービスに比べて月々の費用が安くおさえられる「特養」は人気があり、空き待ちとなっている家庭も多い。つまり施設で働く者としては「嫌なら、よそにいってもらってもいいんですよ」という発想を持ってしまいやすいとも言える。

職員がプレッシャーをかけなかったとしても、サービスご利用者みずから

「助けてもらわなければ困ってしまう。それに、わたしがわがままを言うせいで、家族にも迷惑をかけてしまうし。。」と思われておられることも多い。


以上、「施設介護の世界にうずまきがちな心理」をつづってみた。

今回は、介護者 × 利用者 を相対させて考えてみたが

そのほか

介護者 × 介護者

利用者 × 利用者

の相対心理を確認することも「良い施設介護」を実践するために必要だと思う。

実際に現場で働く者として、現場の心理構造の話をさせて頂いた。

なんだかあたりまえのことを言っているだけのような気もするが。

次回以降、そのほかの相対的な心理構造を考えてみたいし、

そして施設で働く介護者が、いかに、おひとりおひとりに気持ちよく感じて頂けるサービスを提供できるか、

ということを考えてみたいと思う。

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