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「アラウンド・カオス」物語11

これは、とある賃貸アパート「アラウンド・カオス」(仮)で起こった物語である。法律では裁けないカオスっぷりをご堪能いただきたい。

なお、筆者の実体験に基づいた物語だが、企業や人物の名前は架空で、あくまでも筆者視点のストーリーである。


<登場人物>

  • レナ不動産(オーナー):複数のアパートを経営する代表取締役レナ。

  • 日本住宅マネジメント株式会社(管理会社):入居者を第一に考える管理会社。資本金1億円、従業員300名の中堅企業である。

  • オーナー・ファースト社(仲介業者・管理会社):全国の管理会社ランキングで名を連ね、CMでも有名な不動産管理会社・仲介業者。資本金5億円、従業員数3,000名をほこる大企業である。

  • マーレ佐々木(入居者):D2号室住人。

  • 山本レン(入居者):D1号室住人

  • 鈴木マサ(入居者):C1号室住人

  • 茅野 外:C2号室住人


序章 その名は「アラウンド・カオス」
第1話 分岐
第2話 迷入
第3話 呆然
第4話 遮断
第5話 狂喜
第6話 逆流
第7話 再来
第8話 崩壊
第9話 濁流
第10話 白塊
第11話 逃亡


第11話 逃亡

天井崩壊から管理会社(日本住宅マネジメント)の異常性にようやく気づいた茅野は、管理会社に電話ではなくメールで対応するよう要請した。メールで記録に残していなければ、身に危険が及ぶと考えたためである。
2020年9月

日本住宅マネジメント株式会社の大林という担当者から最初の回答を得た。茅野が問い合わせたのが2020年11月10日(火)12時45分、精査するので来週まで時間を頂きたい旨の回答が来たのが、その日の18時18分である。

何の連絡もないため、茅野は、11月27日(金)15時57分に催促のメールをした。追加の質問を添えて。

茅 野:「2週間以上、経っているんだが」

大 林:「精査を続けておりますので、11月30日(月)までに回答します」

茅野は、「弁護士と相談して、言い逃れできる方法を探しているな…」と思った。弁護士との日程調節で遅れたのだろう。

回答が届いたのが、2020年12月1日(火)12時2分で、茅野が問い合わせてから3週間後である。入居者の問い合わせに3週間もかかる時点で問題である。

ここからのメールのやり取りで、入居から約4年間の管理体制が少し明らかになる。ここまでの物語を読んでいない方は、序章から読んでいただきたい。

茅 野:「入居できる状態で貸し出すべきではないでしょうか」

大 林:「仰る通りです」

◆ この質問に対して、「入居できる状態で貸し出しています」と言い切っていない時点で、大きな問題である。茅野は状況説明をしたあとにこの質問をしているため、一般的な質問ではないことも明白である。

茅 野:「御社は退去状況を確認せず、トイレの掃除など指定した場所のみ業者に依頼しているのではないでしょうか」

大 林:「原状回復工事や入居前のチェック体制が甘く、業者に一任し、そのまま貸し出していました」

◆ 想像も含まれるが、本社から業者に依頼するだけで、誰も最終確認をしていないのである。単なるチェック体制の甘さではない。チェックする気がないのである。トイレの掃除を業者に依頼しても、その業者が部屋全体をチェックするはずはないのである。原状回復せずに貸し出す管理会社が存在すること自体、非常識である(なお、非常識的に卓越した者が生き残る世界である)。

茅 野:「天井が崩壊する1年ほど前に、逆流について電話しているが」

大 林:「データが残っておりません。対応が漏れていると考えられます」

◆ そう、管理会社は入居者からの問い合わせ履歴を残していなかったのである。これでは管理会社をまったく信用できないと思った茅野、メール以外では問合せしないと強く心に決めたのである。


このあとも、茅野と管理会社はメールでやり取りしている。
・茅野がメールした日時:2020年12月7日9時23分
・回答を得た日時:2021年2月27日8時36分

なんと、2回目の回答は、質問してから約3ヶ月後である。

茅野は、2021年3月1日11時35分に3回目のメールしているが、この回答はいまだに受け取っていない。3年以上待ち続けている。

実は、この管理会社、2021年12月31日で契約を打ち切られている(驚くべきことに、ずさんな管理体制が理由ではない)。


実は、第11話までで、登場すべき人物が一切出てきていない。この物語の元凶であり、大ボスである。そう、オーナーである。オーナーが無責任で、無関心であることが、この物語が終わらない理由なのである。

アパート「アラウンド・カオス」は、オーナーの物件であり、評判が下がれば、空室リスクをまねく可能性がある。なぜ、こんな単純なことに気づかないのだろうか。

さて、茅野は2つの可能性を考えている。

可能性A:オーナーはど素人で、管理会社にすべて任せている。
これは、オーナーがやってはいけない経営方法で、ネットで調べれば、すぐ見つかる。管理会社は、賃貸経営が上手くいかなくても、直接的な被害はない。オーナーが代わるだけである。入居者が集まらなければ、設備を理由にして、新設備やリフォームを進めることで、更なる収益を得られる。オーナーは自ら積極的に経営に関わるべきである。

可能性B:オーナーは、早く建物を建て替えたいと考えている。
この線も捨てがたい。4年もあれば、何回かはアパートを掃除する管理人に出会うだろう。茅野は一度も掃除しているところを見たことがない。そう、誰も掃除をしていないのである。つまり、オーナーは費用を抑えるために、管理すべき責任を放棄していることになる。老朽化が進めば、建て替えられるという腹積もりだろうか。実際に、茅野は老朽化で建て替え予定である旨の案内を、2023年9月ごろに受け取っている。

しかし、恐ろしいことに、空室に新しい入居者が現れた(2024年6月)。

オーナーも管理会社も、入居者のことを考えていないカオスっぷりがわかるのではないだろうか。これで終わらないのが、「アラウンド・カオス」の凄いところであり、シーズン2では、新たな強敵が現れる。


次回、シーズン2 第1話 強敵

▼ 賃貸暮らしの方、賃貸住宅のオーナーをはじめ、この物語のオーナーや管理会社についてご意見がございましたら、コメントを残してください。特にこれまで嫌な思いをした経験のある方と情報共有できれば嬉しいです。

・「私なら内覧で判断している」
・「私も同じような対応するかも」
・「このような管理会社を選びたくない」
・「入居者を適法に追い出すいい方法だ」 など




 

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