読んだ論文 (Afabicin, a first-in-class anti-staphylococcal antibiotic, in the treatment of acute bacterial skin and skin structure infections: clinical non-inferiority to vancomycin/linezolid. DOI: 10.1128/AAC.00250-20)

急性細菌性皮膚・皮膚構造物感染症における新規クラスの抗ブドウ球菌薬Afabicinの臨床的非劣性:バンコマイシン/リネゾリドに対する非劣性

下記より無料で本文の閲覧可能 (2020年9月3日時点はアクセプト時の原稿がPDFで閲覧可能)


要旨

Afabicin(以前はDebio 1450、AFN-1720)は、enoyl-acyl carrier protein reductase (FabI) 阻害剤であるafabicin desphosphonoのプロドラッグであり、Staphylococcus spp.の脂肪酸合成を特異的に標的とする新規作用機序を有する新規クラスの抗菌薬である. この多施設並行群二重盲検二重ダミー第 2 相試験では、ブドウ球菌による急性細菌性皮膚・皮膚構造感染症(ABSSSI)の治療において、アファビシンの有効性、安全性、忍容性をバンコマイシン/リネゾリドと比較した。無作為化された患者(1:1:1)は、低用量(LD)アファビシン(点滴静注80mg、その後経口120mg、BID)、高用量(HD)アファビシン(点滴静注160mg、その後経口240mg、BID)、またはバンコマイシン/リネゾリド(バンコマイシン1gまたは15mg/kg、その後経口リネゾリド600mg、BID)のいずれかを投与された。ベースラインの病原体は黄色ブドウ球菌(microbiological intent-to-treat [mITT]集団の97.5%)が最も多く、50.4%の患者がメチシリン耐性黄色ブドウ球菌を有していた。mITT集団における無作為化後48~72時間における臨床効果率は、それぞれ94.6%、90.1%、91.1%であり、治療群間で同等であった。LDおよびHDアファビシンはいずれもバンコマイシン/リネゾリドに対して非劣性であった(差は-3.5%、95%CI[-10.8%、3.9%]および1.0%、95%CI[-7.3%、9.2%]であった)。
治療上の緊急有害事象のほとんどは軽度であり,LDとHDのアファビシンではそれぞれ頭痛(9.1%,16.8%)と吐き気(6.4%,8.4%)であった。

アファビシンはブドウ球菌によるABSSSIの治療に有効で忍容性が高く、ABSSSIや他のタイプのブドウ球菌感染症の治療薬としてのアファビシンのさらなる開発を支持する結果となった。

(個人的な感想など)

ブドウ球菌に活性を有する、新規作用機序、新規クラスの抗菌薬アファビシンの第II相試験の結果です。

PDFバージョンの図表を見ていただければわかりますが、非劣性試験なので、特に面白みがないです。

しかし、非劣性試験といいながらも、ノンレスポンダーは0%と表に記載をしてあって、もしかしたら、VCMやLZDなどよりも良いのかもしれません。

安全性もVCMやLZDと比較し、頭痛と吐き気がでるようです

→案外、VCMやLZDでこの辺りの副作用は認めないかなと思うので、自覚症状あるのは結構しんどいかも。。。

ちなみに、このアファビシン、下記のレビューによると、2019年時点では第II相試験だったようで、その際の論文のようです。

 (Journal of Healthcare-associated Infection 2019 ; 12: 55-71)

抗菌薬の分野は、以前は停滞していた時期もありますが、AMR自体の現在、開発がまた進んでいるようで、前述のレビューには、開発中の品目の記載があります。やはり、CRE等に効果のあるものは、今後さらに需要が多くなると思うので、開発が進むと良いなと思う一方、また耐性化が問題になるのかもという懸念もありますね。

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