根拠なき熱狂

シラーの「投機バブル 根拠なき熱狂」を読んだ。ちょうど米国のITバブルの頃に出された書籍。最近その効果は疑われているが、CAPEレシオなど有名な指標もある。2019年新型コロナ禍で史上最速クラスの3月の劇的な下落と、4月以降のこれまた劇的な上昇。10年以上相場の世界を見てきているが、これほどの極端な値動きは個人的には初めて遭遇した。

今はバブルだとか、まだバブルではないとか色々いわれているが、少なくとも非常にバリュエーションが高い状態だとは思っている。個人的には積極的には買いたいとは思えない。しかし80年代の日本株バブルや、2000年の米国ITバブルの頃と比べてどうなのかといわれると、金利水準や、各国政府・中央銀行の姿勢を考えると、まだまだヒヨッコの自分には判断が難しい。

日経平均株価もバブル期以来の価格、ドル建てでみれば過去最高値を超えているが、バブル期のような世間における景気の過熱感は一切感じられない。経済的にバブル感はないが、市場は過熱していて、そのギャップが大きい。しかし、超低金利で株式以外、なかなか運用先に困る時代となっており、まだまだはるかな高みまで上昇しそうな雰囲気もある。

超金融緩和と財政支出からあり余ったマネーが、ビットコインなど暗号資産取引にも向かって、2017年以来の上昇相場になっている。かといって、この勢いが続くなら、過度なインフレや金利上昇はグロース株には冷や水。ナスダックなどはちょっとしたことでITバブルのように弾けて暴落するのではと感じてしまう。しかし、GAFAMのような凄まじい決算を叩きだすような企業は今後も永遠に安泰で、むしろ更に力をつけ独占力を加速させるような気もする。ゲームストップのような株式が時価総額数兆円というオーダーまで買い上げられるなど、局所的にバブル感のある動きが出ているが、この流れにどこまで乗ればいいのか。今は根拠なき熱狂というより、バブルだとわかってて皆踊るしかない、根拠ある熱狂なのだろうか。

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