見出し画像

「本と香りをめぐる対談集」Vol.5「海のふた」~文学アロマフェア~

2021/12/6(月)~12(日)文学アロマフェア~大切な誰かに贈る1冊の香り~@BOOKSHOPTRAVELLER

BOOKSHOP TRAVELLERは、約100人のひと箱店主たちが棚を借りてつくる下北沢の本屋。そこに集う個性豊かなひと箱店主たちと、“言葉×香りのアロマセラピー「読むアロマ」”のアロマ書房のコラボレーション企画のレポートnote「本と香りをめぐる対談集」を連載していきます。第五回目は「自分をいたわるということ」をテーマにした本屋「はるから書店」の小黒悠さんです。

文学アロマフェアの詳細はこちら


ひと箱店主:はるから書店 小黒悠

【プロフィール】
今日もがんばるあの人に。お疲れさまのあの人に。気がついたらいつも、誰かのケアばかりしていませんか?自分をいたわる読書時間をおすすめしたくて本を選んでいます。心をマッサージするような一冊をお届けします。


【選書した本】
海のふた(よしもとばなな、中央公論新社)

【作品概要】
海も山も人もどこか寂しくなってしまったふるさとでかき氷屋を始めたまりちゃん。そこへ、大切な家族とのお別れを経験したはじめちゃんがやってきた。働くこと、人と関わること、町のこと、お金のこと、自然のこと、いろんなことに向き合いながら進んでいくふたりの、ひと夏のおはなし。


「本と香りをめぐる対談集」Vol.5

アロマ書房:こんにちは。今回、「大切な誰かに贈る1冊」ということで『海のふた』を選ばれましたが、選書の理由を教えてください。

はるから書店 小黒悠(以下、小黒):仕事や家庭のことで、自分の意思ではどうにもならないことに当たってしまったときや、途方に暮れてしまったとき、思い出していた言葉があるんです。


――解決ってほんとうに面白くて、ちょうど「これはもうだめかも」と思った頃に必ず訪れる。「絶対になんとかなるだろう」と思うことをやめず、工夫し続ければ、なんだか全然別のところからふと、ばかみたいな形でやってくるものみたいだ。           よしもとばなな『海のふた』


本は、外側の世界へとつながっていく好奇心の扉であると同時に、内側の世界に潜り込むための気付きの出発点でもあると思います。『海のふた』は私にとって後者の存在。そして読むたびに、どこかの一文に背中を押され、どこかの場面に勇気をもらいます。

『海のふた』を開くと感じるしずかな希望や、閉じるときに味わえるあたたかな読後感を、香りとともに愉しんでもらえたらなぁと思って選びました!

アロマ書房:ありがとうございます!まさに、心をマッサージするような一冊ですね。小黒さんの言葉で、私にとって、「外側」と「内側」へい誘ってくれるものが「本」であり「香り」で、そこが共通点だとあらためて気づかせていただきました。
では次に、香りを作る参考にさせていただきたいのですが、作品の世界観を色に例えるなら何色でしょうか?

小黒:緑が少し入った青

アロマ書房:作品の空気感を表すとしたらどんな言葉になるでしょう?
※ 選択方式でお答えしていただいています

小黒:重い、あたたかい、やさしい、シャープ、明るい

アロマ書房:最後にひと言あればお願いいたします!

小黒:セルフケアや、自分をいたわるということをテーマにした本屋なので、実はずっとアロマ書房さんの活動が気になっていました。
愉しいコラボになりますように……!どうぞよろしくお願いいたします。

アロマ書房:ありがとうございます!はるから書店さんのテーマは、まさにアロマセラピーが寄り添える分野で、お話をおうかがいしてワクワクしました。作品の世界観と、それがもたらしてくれるものを香りで表現できたらと思います。どうもありがとうございました!


以上のお話から、わたしが作った『海のふた』の香りがこちらです。

『海のふた』ブレンドについて

【ブレンドレシピ】
レモンプチグレン サイプレス ネロリ
月桃 マージョラム サンダルウッド


「しずかな希望と、明日への一歩と」をテーマに、光を感じるようなイメージで作りました。香りのテイストは、作品の空気感から「重い、あたたかい、やさしい、シャープ、明るい」。

ブレンドした香りをひとつずつ解説していきます。

さわやかなシトラス調のレモンプチグレン。香りは、レモンの果実(子供)ではなく葉(成長)から抽出される精油。もう純粋ではない、けれど他者を癒す力が増す。

サイプレス、和名はイトスギ。滞り、停滞を除き流れを作る。内側(心)と外側(身体)からはたらきかけ、変化を受け止める。

天然の精神安定剤と言われるネロリは、オレンジのお花の精油。自分自身へ向けるあたたかな目。

沖縄産のハーブ、月桃(ゲットウ)。あたたかさとやさしさ、シャープさをもつ香り。弱いところに手をのばしてくれる。

マージョラムの学名は「山の喜び」の意味を持つ。心と身体の循環をうながし、温もりを運ぶ。

そしてサンダルウッド。和名は白檀(ビャクダン)。古くから神社仏閣で用いられ、内観を促す香り。成長に60年かかると言われ、ゆっくり時間をかけて自分を育てる。

以上の6つの精油をブレンドし、「なんだか全然別のところからふと、ばかみたいな形でやってくるものみたい」な、神さまからの「お疲れさま」のような、そんな香りができあがりました。


海のふたの香りの感想


アロマ書房:
完成した香りを嗅いでみていかがでしたか?

小黒:やわらかな香りがふわっと広がり、心地の良い安らぎがありました。
でもその癒やしの後に、気持ちがすきっとするような、爽やかな香りを感じ、とても新鮮な気持ちになることができました。

アロマ書房:ありがとうございます!「心をマッサージするような香り」になっていたらうれしいです。「自分をいたわるための1冊と香り」ができました。みなさま、ぜひBOOKSHOPTRAVELLER@下北沢に遊びにきてくださいね!


「文学アロマフェア~大切な誰かに贈る1冊の香り~@BOOKSHOPTRAVELLER」開催詳細

開催期間:12月6日(月)~12月12日(日)
会場:BOOKSHOP TRAVELLER(〒155-0031 東京都世田谷区北沢2丁目30−11北沢ビル3F)
営業時間:12時~19時
定休日:水・木


#ブックショットラベラー   #下北沢   #本屋を旅する     #本屋のアンテナショップ   #BOOKSHOP TRAVELLER   #読むアロマ    #アロマ書房   #文学アロマフェア   #よしもとばなな   #海のふた


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?