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BTS Vが’Inner Child’を通じて送った’もう一人の自分’へのメッセージ

10日、11日の2日間に渡って開催されたオンラインコンサート『BTS MAP OF THE SOUL ON:E』で披露された、Vのソロ曲『Inner Child』が世界中で話題となった。同曲に込められたVのメッセージをを探ってみる。

今月の10日、11日の2日間に渡って開催されたBTS(防弾少年団)のオンラインコンサート『BTS MAP OF THE SOUL ON:E』。

見どころ満載な構成と華麗なパフォーマンスで、世界各国99万3千人のファンを沸かし、その人気と存在感を改めてアピールした。

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この日、世界のメディアの話題をさらったのは、メンバーVが披露した渾身のステージ『Inner Child(インナーチャイルド)』。米メディア『All Kpop』は、「Vは”Inner Child”で、天上の声で多くのファンを感動させ、ファルセットとナチュラルボイスを行き来するボーカルは、ライブバージョンでより真価を発揮する」と評した。

インド最大のニュースメディア『The Times of India』は「BTSのオンラインコンサート終演後、VがSNSを熱く盛り上げている。BTSのパフォーマンスのクオリティーを、より一層高めてくれた」と言及。また、スペインメディア・別メディア『Nacion Rex』は「Vがパワフルで情熱的なパフォーマンスと、ソウルフルなボーカルでファンを魅了させた」と伝えている。

同公演でVが歌った『Inner Child』は、世界のiTunesチャートにも影響を及ぼし、欧州のモルドバでは1位になったとの報せが飛び込んだ。これにより、今年2月に発表された同曲は、世界89の国と地域で1位となる快挙を成し遂げた。

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『Inner Child』という曲を簡単に紹介してみよう。

まず、タイトルの”Inner Child”は、カウンセリングに用いられる心理学概念の一つで「我々の内面には、もう一人、幼い頃の自我があり、それを治療する」という用法として知られている。
トラウマや不安な記憶を持つ子供である”私”と立ち向かい、語りかけたり、慰めさめたりして現在抱えている問題を解決へ導くという用法だ。

アルバムの紹介文には、同曲についてこう記されている。

「今の僕になるため、頑張って走り続けていた少年に送る曲だ。永遠に私の中で生きていく傷だらけの少年だけど、その傷が今は”幸せ”になったので、少年に慰める言葉を送りたい」

そう、Vは『Inner Child』を通じて、大変だった過去の”V”を慰めようとしていたのだ。

不安ともどかしさに襲われた日々

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整った美しい外見で、彼の過去を華麗なるものだったろうと勝手に想像する者もいるが、現実には恵まれない幼年期を送っていたV。共働きだった両親の代わりに彼を育てたのは、祖母だった。子供だったVは、おばあちゃんのために毎月3,000ウォン(約300円)を貯めて、手渡した。栄養ドリンクのバッカス(日本でいうリポビタンDのようなもの)が、3,000ウォンだという情報とともに。物心がついた頃から、誕生日の願い事は”家族の健康”だというエピソードから、素朴で純粋な性格が伺える。学生時代から自他共に認める”寂しがり屋”で、人への愛着が強かったとか。

田舎育ちの素朴な子供だったV。歌手になりたいという夢を抱き始めたが、みっともない自分に自信が持てない。BTSの中で、最後に公開されたメンバーであることは周知のエピソードだが、メンバー公開までの時間は、彼にとって”もどかしさ”と”悔しさ”が増していく日々だったようだ。総括プロデューサーのパン・シヒョクからは、入社してから1年間、名前すら覚えてもらえないという屈辱を味わっていた。

BTS最後のメンバーとしてデビューを果たしたVだが、その喜びも束の間、アイドルとして成功するため、歯を食いしばって毎日練習に励んだ。


世界の頂点に立つアーティストになった


デビューから7年。言い換えれば、BTSの一員として新しく”誕生”の瞬間を迎えてから7年という歳月が経った。

いつの間にか、韓国はもちろん、世界で高い人気を誇るスーパースターになった自分と出会った”少年V”は、戸惑いを隠せない。”スター”を夢見たが、”スター”になれる自信が持てなかった少年は、これらすべてが、すぐに消えてしまう”幻”だと、不安を口にする。

そんな闇の中でしゃがんでいる少年を、今のVが抱きしめようとしている。こう語りながら。

「僕が手を差し伸べたら、握ってくれないか? 僕が君になるから、君は僕の天の川を見るといい‥あの星軍を迎え入れればいい」

『Inner Child』は、Vがただ過去の自分へ送るためのメッセージとしてとどまらせない。曲を聴いてくれるファンにも、同様のメッセージを送っている。辛い今を生きている人々に「僕たちはきっと変われる(We gon’ change)」と、新たな”誕生”と”運命”を迎える時間が遠くないというメッセージを送っているのだ。

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