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ある朝の夢の記憶

 目を覚ましました。
 体が粘土のように重く、べたついていました。上半身だけ、ゆっくりと起こしました。体に力が入らず、だらりと首が下にもたげます。半開きの口から、粘ついたよだれが垂れ、白いあぶくから、黒いシミへなりました。
 ぼんやりと、夢の内容を思い出します。はっきりとは思い出せませんが、僕は木になっていました。僕は、必死にもがいていました。なぜか、そこから逃げなければならないと思ったのです。干からびたタコのような足を、必死に動かそうとしましたが、ぴくりとも動きません。
 やがて、動かすことを諦めてしまっていました。雨がポツポツと降り注ぎ、雷がごろごろと鳴っています。僕は、自分に落雷を落ちてくることを望みながら、ひっそりとそこに、埋まっていました。

 


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