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学歴を積むこと

 今回は創作活動とはあまり関係のない話。

 大学進学率が上がり続けている中、奨学金返済に喘ぐ若者のニュースも頻繁に耳に入るようになって久しい。学歴を積むことが現代人にとって自立や幸福に繋がるかというのは常日頃、疑問に思っている。仮にも大学院までの教育を受けさせてもらえた自分がこれを言うのは非常に烏滸がましいことで世間知らずの戯言であるとは承知しているつもりだ。しかし、たとえ社会の高学歴化が進んでも世の中に必要な仕事がすぐに大きく変わることはないので、学歴に見合わない待遇に甘んじることになる人間が増えてしまう。一部のネットの論調などを見ていると院や博士に進んだ高学歴な人間が職や高給にありつけないことを嘆いてみせる様子もあるが、これは供給過多の結果に過ぎないんじゃないかと思えてならない。今の子どもや若年世代は早い段階からキャリア教育などのカリキュラムを通して「やりたいこと」を先を見通して考えるきっかけを持っているが、それが大学進学ひいては高学歴化を促しているのだとしたら、けっこう罪なことかもしれない。無論、学歴なんて必要ないでしょなどと放言するつもりはないが、一方で、学歴を積むことや学び続けることが世の中の多数の人間にとっての絶対善であると過大評価されているきらいが確かにあるようにも見えるし、とりあえず大学は出とかなきゃという空気には多少疑いの目を持っていても良いとは思うのだ。

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