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J2第6節 藤枝MYFCvsロアッソ熊本

こんにちは、今回はロアッソ熊本戦のレビューとなります。
この試合は両チームの特徴と藤枝の現状がよく表れた試合となりました。
ではまず両チームのフォーメーションです。


両チームのフォーメーションと噛み合わせ


藤枝は3421、熊本は343(3412かも)です。ここでポイントになるのは熊本の守備の仕方です。
熊本の守備は基本的にマンマークです。実際にはそうはならないんですが、あくまでイメージとして先程の両チームのフォーメーションに当てはめるとこんな感じになって、誰が誰を見るかハッキリします。

もちろん後ろを1枚余らせたり、ボールと遠いサイドの選手は余らせたりするのでこうはなりませんが、お互いの配置上では熊本からすると比較的相手を捕まえやすい形にはなります。
しかし藤枝はボール保持時はここから形を変えるので、それによって熊本の守備が混乱します。

藤枝の形と先制点

藤枝のビルドアップはCBのうちの1人がサイドに出て2列目の位置に入ります。そして後ろはGKを含めて3枚になります。よく列を上がるのは右のCBですが、この試合の序盤では左CBの小笠原が前に出ていました。
そうなると

熊本のCHは中央を空ける事はできないので最初から小笠原を近くで捕まえておくことができません。

そしてマンマークといっても目の前にいる相手を見る傾向がある熊本の守備は誰が小笠原を見るのか曖昧になります。
前半9分の藤枝の先制点はここから生まれます。

藤枝が後ろでボールを保持してパスを回す中で下の図のような形になります。

熊本の前線がGKまで行くことによってCHの選手がボランチの西矢を見る形になり小笠原が空きます。ここに出てきたのが本来は23番の梶川を見ていた熊本の右CBです。
ここは先制点のシーンですが、この直前にも同じように小笠原に出たパスに対してこの右CBがチェックに出てきています(この時はGKにボールを戻される)。
もちろん距離が遠く間に合わないわけですが、先制の場面ではGKから小笠原へのフィードに対してこのCBがカットに出てボールに触れず、パスを受けた小笠原がドリブルでボールを運びます。

そして右CBが飛び出した為、数的同数となった状態で中川がついていたCBを動かして朝倉へスペースを与えて中央を割って藤枝が先制します。
これまでの試合では最終ラインから相手のプレスを外していっても、中央を突破しようとしてもあまり上手くいかなかった事が多かったですが、ここでは中川の効果的な動きもあり見事にゴールをこじ開けました。

この小笠原が空く事によって藤枝が先制しますが、熊本の方もその後にここを修正して逆に試合のペースを握ります。(大木監督がコメントしてるのはこの部分だと思われます)

藤枝の問題点と熊本の同点ゴール

先制した藤枝ですが、試合を通して問題が発生していました。
それは先程の熊本のプレスの修正と、元々抱えている藤枝の前からのプレッシングが機能しない事、そしてセットした守備でも個々で守るといった状態でボールを奪えない事です。これにより熊本に攻められる時間が長く、守備は突破されピンチを迎える場面が増えてきます。

藤枝の前線からのプレッシングですが、最初の1人もしくは2人は相手CBやGKにプレスに行きますが、後ろの選手がついてこなかったり相手を捕まえていなかったりする事が頻繁に見られます。
熊本のボール保持が上手いのもありますが、この藤枝のプレスの状態は他の試合でも見られていて、これにより熊本に簡単に前進を許してしまっていました。
また自陣に引いた守備でも人数はいますが、組織的になっておらず個々が後追いの守備になり熊本にボールを回されます。
そうした中で何度か決定機を作られ同点ゴールを奪われます。

実際には交代選手が何人かいます

ここでも守備の人数はいましたが熊本の最終ラインからのパス回しを防ぐことができず、また人を見るという意識が大きい為、ゴール前に大きなスペースを作って結果失点しています。

藤枝の2点目とまとめ

同点に追いつかれた藤枝ですが、73分に決勝ゴールを奪います。藤枝のCKから熊本がカウンターを仕掛けたところを更に藤枝が奪い返して逆にカウンターをして生まれたゴールですが、このCKのきっかけを作ったのは1点目と同じように熊本のCBが藤枝のFWの矢村に入った縦パスをカットしようと前に出て奪えず矢村にフリーで前を向かれたところから始まっています。

縦パスが入った時は熊本DF3人に対して矢村1人でしたが、CBがカットに失敗した事でカウンターを受けたような形になりそこから一旦ボールを預けた矢村がクロスをダイレクトでシュート。GKがファインセーブするもCKとなり、その流れで熊本は失点しています。
CKからのカウンターのボールを奪い返した藤枝の切り替えの早さもそうですが、熊本の守備の不味さが出た場面でもありました。

藤枝も熊本もボール保持ではJ2でも屈指の上手さを見せますが、両チームにとって守備の課題が浮き彫りになった試合だっと思います。
藤枝は昨年はその守備を安定させる事にも成功していましたが、今シーズンこれまでの試合を見る限りそういったところは一旦置いている感じです。ただ今後もどうしても付きまとってくる部分だと思いますので、ここをどうするか注目して見ていきたいと思います。

※この試合の個人的なMVPは藤枝のGKの内山選手です。2つのビッグセーブもですが、最終ラインでのパス回しだけでなく内山選手から中盤へのフィードは正確で大きな武器になっています。また最終ラインの裏のスペースをカバーする守備範囲も広く(一回危ないのあったけど)、この試合では攻守に渡り目立っていました。

では今回はこの辺で、お読みいただき有難うございました。






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