(5分25秒以降のあたりも聴いてほしい)
(この記事は、以前公開した記事の一部を見やすく修正したものです。
内容的にはなにも変わっていません)
歌詞の意味・和訳(テキスト)
カツ子さんは当時流行していた偏狭な軍国主義精神のカリカチュア。
吉野源三郎がこの歌をカツ子さんに歌わせたのには、当時、「暴支膺懲」というスローガンのもとで「無法にも暴れまわる中国をこらしめてやれ!」という思想が流行していたという背景からであろう。吉野源三郎の著作にはこの「暴支膺懲」について言及がいくつかあり、その考え方の傲慢さに憤りを感じていたようだ。
この「暴支膺懲」は黒船来訪以来この国が培ってしまったルサンチマン精神の果実であるし、その精神によって形成されてしまった国家は、破滅的な崩壊に到達するまで突進を止めたりはしない。
吉野源三郎は、エミール・レーデラー氏の著作を読み、このように理解したのではなかろうか。だからこそのカツ子さんの登場だと思うのだ。
盧溝橋事件とは、そうした思想風土を追い風として発生した出来事であっただろうと思う。『君たち』の出版は1936年、盧溝橋事件が1937年なのだから、吉野の鳴らした警鐘は、悲しくも見事に的中してしまっている。彼の時代を読み取る力が異常なほどに優れていたことが、下記引用を読んで合わせて考えるとはっきりわかる。
以下、千葉準一さんの
昭和の恐慌と『商工省準則』の形成
よりの引用