師走の午後に年越しキャンプのハナシを
「師走の午後に年越しキャンプのハナシを」
2006年の冬に書いたものを再掲です。
晴れときどき雨 最高気温11度。
師走の昼前。
ポカポカ陽ざしがぬくいベランダのコットで漫画を読んでいると、ヒュゥー、何の前触れもなく突風が吹き、パラパラ、青空から冷たい雨が落ちてきました。
わおっ!あわてた僕は干していたフトンを部屋に放りこんだ。モズもツバキの葉の下にもぐり込んだ。
「青空に雨・・・キツネの嫁入りか。このあたりには、キツネはいないはずだけど」もう少し気温が低ければ、みぞれか雪混じりの雨になったことでしょう。
昼どき。
「香川さぬきうどんツアー」に出掛けた知人からさぬきうどんが届きました。大量の湯でうどんをゆがいて、ネギと生卵と出汁醤油をからめ、ずるずるとかっこむ。うめー。
コシがあるさぬきの太麺は、のどごしが良くおいしいものですね。
午後。
HPに使いたい写真を探しました、がいくら探しても見つかりません・・・あれれ?
それは、6年前の冬に静岡の友人と四万十川を下った時の写真です。
焚き火キャンプ&カヌー(カナディアン)で冬の川を遊んだ年末年始。1泊2日。漕行25キロ。(そういえば当時は、まだ四万十に居を移したばかりで、中村市内のアパートに住んでいたっけ)
「テントなどの設営は、できるだけ早い時間に(陽があるうちに)すませる」それが、冬の川(陽が山に落ちるのがはやい)でキャンプをするときのコツだ。
陽が陰った川原は、気温がグングンと下がり、空気がキリキリと冷えてゆき、あっという間に暗くなり、設営がタイヘンになってしまう。
大晦日の口屋内沈下橋。
青く澄んだ空の下、川原に吹く北風がピリッと頬に冷たい。
僕らは、素早くテントを張り、薪を集め、川原に陽があるうちに火を起こした。川原には他に、ソロで下っているカヌーイストと、上流からカヤックで下ってきた〇〇大学の探検部のメンバーが数名いた。
計3組のキャンパー。
(探検部の連中は、川の水温が低い冬なのに、夜の瀬を漕いで死にそうになったとのこと・・・わはは)
凍てついた冬の星空の下、一箇所に集まったキャンパーは、焚き火にあたりながら、食べ、飲み、語った。
吹きっさらしの川原で、タープなどで周囲に壁を作るなどの防風対策をしなかった。おかげで、ばっちり服を着込んで焚き火にあたっていても、体の前面はぬくいのに背中が冷たい、というジレンマにおちいったのだった。
しょうがないので、時々背中も焚き火であたためてやり過ごす。
誰かが持ってきてた小さなラジオでNHK紅白歌合戦を聴く。
僕は、「こんなところで聞く紅白もいいもんだなぁー」と思った。
友人が、歌合戦の間のタイミングのよいところで大声で叫んだ。
「遠くから白組の健闘を祈る。こちらは陸の孤島四万十川、カヌー年越し部隊より!」と。
元日の朝の川は風が無く、空はおだやかに晴れていた。
低い山から昇ってくる初日にむかって両手を合わせ、「今年も海、川、山のフィールドで楽しく遊べますように」とわりに真剣に祈った。
「新年おめでとう!これ、皆さんで食べて!」
近くの民宿の人が、朝飯の支度をしてるキャンパーのところへ大きな鍋を持ってきた。
もうもうと大量の湯気がたつ鍋には、雑煮がたっぷりと入っている。
皆でお礼を言って「はふはふ」とあたたかい雑煮を食べた。
初日と思いがけない新年のごちそうに、全員ニコニコの新年の朝になった。
キャンプ道具を撤収し、カナデイアンカヌーに荷物を積み込んだ。
口屋内を出発。
僕らが目指すのは、中村市内で四万十川に掛かる通称赤鉄橋。そこまでの距離は、約25キロ。
透きとおった冬ブルーの空の下、鏡のように凪いだ川は、ゆったりと静かに流れている。雨量が少ない冬の川は、水量がかなり少ない。水の透明度はバツグンに良いけど。
さわる水は、おおっツメテー!川面の水温8度。沈はしたくない水温だ。
「気持ちイイなぁ~」
冬枯れの川景色を愛でながら、ゆっくりゆっくりと慎重に下ってゆく。
景色のよい広々とした川原でヒルメシを食べ、沈下橋の上でコーヒーを飲み、のんびりと過ごすお。
おかげで、山に陽が落ちかけているのに、まだ目的地が遠い・・・
やべ!わっせわっせと漕ぐ。
ズンズンと暗くなる薄闇の川。
ゴールする頃には漕いでる手元さえ見えなくなっていた。
冬の野外遊びは —テントの設営だけでなく― 行動も早めに終えましょうね。それにしても、あの時の写真どこへいったんだろう?
*使用画像はイメージです。
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