春色の川にカヌーを
「春色の川にカヌーを」2011年早春に書いたものを再掲です。
3月の夜のベランダで、月の光をあびながらウイスキーをなめていると、どこからともなく流れこんできた雲が、まあるい月を隠してしまいました。
みるみるうちに夜空は、雲に埋めつくされ、やがてシトシト雨に。
ひさしぶりの雨だ。
僕は、恵みの雨音と(もう鋤き返された田から聞こえてくる)カエルたちのヨロコビの合唱に耳をかたむけました。ゲコゲコ。
*気候があたたかい四万十では、彼岸ごろから田植えをします。早く植えたものを「はやて米」と呼びます。「はやて米」は、台風シーズン前の7月の終わりには刈り入れてしまいます。はやいですね。
弥生の空は(キッズたちの気まぐれな心のように)その表情をクルクルと変え、ぬくい風とひやい風を交互につれてきます。ぬるい春風に誘われた午後。川べをのんびりと走っていると、「おっ!」道沿いのサクラの木に、淡いピンクの花が二輪ほど咲いているのに気づきました。
「2011年3月22日。高知地方気象台22日、高知市のサクラ(高知城三の丸の標本木)の開花を発表。過去最速だった昨年よりも12日遅く、平年より1日早い開花となりました」
家にもどると、このようなニュースがラジオから流れてきました。やっほー。眼下の庭では、真っ白いユキヤナギの花と真っ黄いろのレンギョウの花が満開です。
「さぁ、南国四万十川に短き春とカヌーシーズンの到来です!!」
ちなみに、江川崎あたりからカヌーで下っても、道端にずらりと並び、岸をサクラ色にそめる華やかな桜並木は、ありません(都市近郊の川のような)。川岸や山肌で、ぽつりぽつり咲いているサクラは見られますが。
でも、ピンクの花ながれ、萌黄色が岸辺をいろどる春の川に、カヌーを浮かべ、「の・ん・び・り・カヌーピクニック」に遊ぶのは、なかなか優雅なひとときですよ。ぜひ。
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