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ロメリア戦記が出来るまで 〜その2主人公はとことんまで追い詰めろ〜

需要があるのか分からない、制作秘話の第二弾です。 

小説を書くにあたって、作家はまずプロットという大まかなあらすじを作成します。

ロメリア戦記で言えば。

①魔王を倒した後、ロメリアが婚約破棄される。

②故郷に帰る。

③カシューで兵を興す。

④魔物を討伐しにいく。

といった流れを考えて、小説を書くわけです。

しかし上記プロットはかなり大雑把で、私はさらに肉付けしていきます。

①魔王を倒したあと、アンリ王に婚約破棄される。しかしロメリアは予想していたためすぐに同意する。そして自分一人で魔王軍の残党と戦うことを決意する。なぜならロメリアには『恩寵』という能力があったから。

②故郷に帰るロメリア。足元を見てくる商人との交渉し、高値で竜涎香を売ることに成功する。

③カシューに赴く。代官の不正をネタに、新兵を手に入れる。新兵には現実的な恐怖と、金貨という報酬をちらつかせて士気を高める。

④救援を求める村が魔物に襲われており、新兵を率いて戦う。しかし初陣に新兵達は浮き足立つ。ロメリアの冷静な指揮の下、勝利する。兵士たちにはちゃんと報酬を与えて宴を開き、戦いに勝つ喜びやモチベーションを維持させる。

といったように、キャラの魅力を引き立てるエピソード、書くべきこと、押さえておかなければならないポイントなどを肉付けしていきます。
さらに他のモブキャラや小さなイベントなどを、盛り込んでいきます。

こうして書くべきことを加えていくわけですが、一方であまり考えない部分もあります。
それは主人公が窮地に陥った時の解決方法です。

 ストーリ上、緊張感を演出するため、主人公達は窮地に陥ることがあります。
私はこの時、主人公達をとことん追い詰めます。そしてその時点では、解決方法を考えません。

解決方法を先に考えると、解決ありきの窮地となってしまい、緊張感が緩くなるからです。

 

もちろん解決法を考えずに、主人公達を追い詰めるわけですから、書く段階になると……
「あれ? これ主人公達は詰んでねぇ? どうしようもなくねぇ?」
となります。

 

行き当たりばったりもいいところですが、このやり方は緊張感の演出には最適です。
何せ作者ですら「詰んでいる」と思うわけですから、読者も絶対そう思います。
そしてそこから、作者も驚く解決法を考えます。作者も驚いているのだから、読者も絶対に驚きます。

 

ただこの方法、効果は絶大ですが、かかるストレスも絶大です。
すごく苦しいですが、考えて考えて考え抜けば、どこかに抜け穴はあります。

 設計図を考えて設計図通りに作るのは、当然と言えば当然なのですが、全体の一割ぐらいは作者の想像を超える部分が必要だなと私は考えています。

 

それでは今日はこの辺で。

 

 

 


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