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ロメリア戦記が出来るまで ~その05、あえて異なるジャンルに飛び込め~

はい。さっぱり更新していなかった、ロメリア戦記が出来るまでの第五弾です。
 別に忘れていたわけじゃないんです。ただ、その、ちょと忘れてたんです。
 
 さて、今回のテーマは、物語を書く上でのジャンルの選択です。
 物語にはいろんなジャンルがあります。冒険小説に推理小説。SF小説に恋愛小説。最近では異世界転生物や婚約破棄物なども一大ジャンルと言えるでしょう。
 
 ジャンルの選択は当然作者の自由であり、好きな物を選べばいいのですが、ここでひとつ注意点があります。
 それは作者がそのジャンルを好きすぎると、却っていい物が書けない時がある。と言うことです。
 
 作者も人間ですので、好きなジャンル。面白いと思った本があります。そして好きな本が出来れば、そのジャンルで本を書いてみたいと思うものです。しかし強い思い入れは、時として足かせにもなります。
 好きすぎるがゆえに『このジャンルはこう。ここはこうするのが正解』といったジャンルの定石を踏襲してしまいがちになるからです。

 ジャンルによる定石と言うのは、使いようによっては便利なものです。特に物語の導入部である序盤は、読者に『これがどういう作品なのか?』を伝えなければいけません。ジャンルによる定石はこの問題を簡単に解決してくれます。
 
 いわゆる『なろう小説』では中世ヨーロッパを世界観にした『ナーロッパ』が舞台となることが多いです。作者の手抜きと揶揄されることもありますが、読者の中に共通認識がある世界観だと、こまごま説明せずとも読者が理解してくれるので大変楽です。
 逆に世界観を一から作るとなると、説明するのも一苦労です。また読者も毎回本を読むたびに、新たな世界を理解しなければいけないので、大きなストレスとなります。
 
 定石と言う物は一見手抜きにも見えますが、便利にも使えます。便利に使えるときは便利に使っておけばいいのです。
 
 しかしこの定石と言う奴も、使いすぎるのはよくありません。便利なのはいいのですが、定石にはその後の展開が読めてしまうと言う欠点があります。そして創作において、展開が読まれると言うのはあまりよくありません。読者にある程度展開を予想させつつ、その予想を裏切り、予想を超える驚きが無ければいけないからです。
 
 創作と言う物は、読者の『予想通り』の展開と『予想外』の展開。この二つの間を付かず離れず、綱渡りのようにバランスを取りながら進めることが重要と言えます。そしてバランスを取るために必要なのは中立的な、全体を俯瞰して眺める視点です。
 
 しかし好きなジャンルで書こうとすると、好きすぎるがゆえに定石を踏襲し、バランスを崩してしまいます。そのために、あえて異なるジャンルで書き始めると、丁度いいバランス感覚で書くことが出来ます。
 また、異なるジャンルに挑戦することで、自分の好きなジャンルを生かせることもあります。
 
 ロメリア戦記では、婚約破棄物、追放物、戦記物を掛け合わせています。
 通常戦記物ですと、兵士か士官の男主人公が敵軍と戦うというストーリーが展開されます。しかしここに婚約破棄物を追加したことで主人公が女性の貴族となり、追放物を加えたことで不遇の主人公が地方から成りあがると言うストーリーができ上がりました。
 
 異なるジャンルに自分の好きなジャンルの要素を持ち込む。そうすることで新たな面白さが生まれ、それぞれのジャンルの面白さがより引き立つ。と言うことが起きます。

それでは今日はこの辺で。


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