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「食材を撮る」こと「料理写真を創り上げる」こと

「美味しい写真の作り方」のお話の前に、少しご紹介させていただきたい、私がお仕事以外で撮り続けている写真
「Vegetable photo」です。
一見ネイチャーフォトのようですが、農園の畑にいる野菜の姿
人が人の為に作り出した、「食材」です。

東日本大震災を機に、私は当時2歳の子供と共に半年間、長野県で田舎暮らしをするという機会が訪れました。
親戚を頼りに、全く知らない土地に飛び込んで幼い子供との生活、不安がいっぱいでしたが、とにかく必死な日々、少しづつ周りの視界が開けると、そこでは、これまで見たこともないほど、季節を感じる新鮮なお野菜や果物にあふれていました。
果物がたくさん実ったらジャムやジュースに、ソースに、というふうに、旬の作物に引っ張られて料理を作り続ける毎日。
それ以前もフードコーディネーターの仕事をしてきたのですが、
都会育ちだった私は、「何かを料理を作ろうと思ったら、材料をお店に買いに行くこと」、が当たり前だと思っていました。お店に並んでいる食品の背景を知ろうとしていなかったのです。
長野で生活した土地の皆さんのお話は、「何かを作ろうと思ったら、たいてい周りの誰かが持っているよ(育てている)」
当たり前の毎日が、自給自足、地産地消、旬を感じて日々台所に立つ。

ご縁があり地元の農家さんとの繋がりができ、子供と一緒に農作業を手伝わせてもらったり、自分で収穫させてもらった野菜で、地元のカフェでワンデイランチをやらせてもらいました。そういった背景があるからか、料理を作る時もより幸せだったし、食べて喜んでもらえた時には、またその幸せが広がった様に感じました。まるで畑の風景が、私の料理というフィルターを通して、誰かの笑顔に写っている。そんなイメージです。
農家さんが心を込めて作ってくれた新鮮な食材があってこそ、それを手に取って、何にお料理するかを考えることの、素晴らしさを体感しました。
料理を考える発想が、180度変わったのです。


食材を撮りはじめたきっかけは、畑にいる生き生きとした野菜の姿を記録することで、より多くの人に背景を知ってもらうことが出来る、農家さんが美味しく安全な野菜を食べてもらう人の為を思って作っている、という人と人とのつながりが、そこにはあります。
写真を撮ることで、農家さんに恩返ししたい、と思ったからです。それから食材の生命力を感じながら「Vegetable photo」を撮り続けてきました。

天候や風の流れ、太陽の位置、虫たちの動きも全てが自然任せでな中で、写真を撮ることと、 
何もないところから、テーブルクロスを敷き、調理し、器の上に盛り付け表現し料理写真を創り上げること、

相反するようなプロセスであるにもかかわらず、写したいことは同じなんだと気づき始めました。

次回は、「美味しい写真てなんだろう?」というテーマで書いていきます^^

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