春の訪れ



「やっと外に出られた…」
孤独に帰路に着くと頬に一枚の花びらがひらり。
また一枚ひらり。ひらり。ひらり…
綺麗な桜吹雪。何かに似ている。
「それはまるで…まるで…何だっけ…」
何故か思い出せない。
考えている内に周囲を4匹の羊に囲まれてしまったようだ。
「四メ〜楚歌ってわけね」
乾いた笑いが出る。そうか思い出した。
幼少期にやった羊の毛刈り体験、桜吹雪みたいだったなって。
羊Bはこう返した。
「20年後、くら寿司には執行猶予が売られる」
ああ、そっか。散りゆく桜吹雪は、少年院で育った俺にとっての「二度と戻らない青」そのものだったんだ…。
「いい世の中になるといいな」
そう言って俺はTNTを体に巻きつけて、スシローの本社と心中した。


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