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DV夫と離婚できなくなる! 柴山議員が大炎上を恐れる「共同監護計画」問題

埼玉県虐待禁止条例改正の撤回を受け、10月11日、柴山昌彦議員(自民党・埼玉県連会長)は、離婚後共同親権への法改正について、「同じような大炎上が起きる」ことに懸念を表明しました。
【共同親権】大炎上が起きないよう、一刻も早く成立を ―柴山議員(自民党・埼玉県連会長)
(柴山議員の写真は、自民党ホームページより)

では、柴山議員は、何が国民に周知されてしまうことを恐れているのでしょうか?
この記事では、DV加害者と離婚できなくなる危険性の高い「共同監護計画」の問題について取り上げます。


柴山議員、「共同監護計画」について「大炎上が起きる」と発言

10月11日、柴山議員は、「日本の家族を守る会」主催の集会で登壇し、共同親権について演説しました。
柴山議員は「共同監護計画を定めなければ離婚ができない」という規律を盛り込もうとするならば、埼玉県の条例と「同じような大炎上が起きる」と懸念を示しています。

一つ、皆様にご紹介したい事案があります。これは昨日(10/10)埼玉県の県議会の中で、子どもの虐待防止条例改正案が撤回を余儀なくされたという案件です。
(中略)
共同監護計画を定めなければ離婚ができないというような期待にすると、私が気にしているのはまた、同じような大炎上が起きるんじゃないかな、というふうに思います。

SAKISIRU(2023年10月11日)

「共同監護計画」を提出できないと離婚届は無効に!?

では、共同親権派は、どのような法改正を目指しているのか? 運動団体「民間法制審」の中間試案を見てみましょう。

民間法制審議会家族法制部会 - 共同養育支援法 全国連絡会 (oyako-law.org)

「共同監護計画」の提出を義務化

 中間試案では、離婚にあたっては、「共同監護計画」を作成して公正証書とすることを義務付けています。さらに、「共同監護計画」が添付されていない場合は、区市町村は離婚届を受理できない、としています。

 このような法改正を行ったら、「共同監護計画に合意してもらえないと離婚できない」「離婚するために不本意ながら合意する」といった事態が起こる懸念されます。

離婚時に「父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める」(民法第 766条第1項)とする規定に基づき、離婚時には、子の監護について必要な事項を「共同監護計画」として公正証書化することを義務付けるとともに、離婚届とともに、この「共同監護計画」を添付しない限り、離婚の届出は受理できず、無効とする規律を設ける。

民間法制審「中間試案」(2022年5月31日) P9

DVでも「共同親権」「共同監護」

共同親権派は、「離婚後共同親権になっても、DVは例外だから大丈夫」という情報を流布しています。しかし、民間法制審の中間試案には、「父母間に暴力の事実があった場合であっても、当該父母は共同して親権を行使しなければならない」と明記されています(例外は、親権喪失等)。

したがって、離婚するには、DV加害者との「共同監護計画」に合意し、離婚後も「共同監護」を実行しなくてはならない、ということになります。

父母の一方が、もう一方の父母に対し、配偶者暴力防止法第 10 条第1項に
規定する「身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫」を行っていた場合であっても、親権喪失等により親権者としての地位を失っていない限り、「子の利益のために、監護する権利と義務がある」(民法第 820 条)のであり、その監護する権利と義務を制度的に保障する必要がある。
したがって、仮に、父母間に暴力の事実があった場合であっても、当該父母
は共同して親権を行使しなければならない。そして、それは婚姻中のみならず、離婚後であっても同様であり、離婚時には、「共同監護計画」を作成し、離婚後は、その計画を共に実行しなければならない。

民間法制審「中間試案」(2022年5月31日) P14

「共同監護計画」の義務化は、共同親権の「一丁目一番地」

共同親権派にとって、共同監護計画(共同養育計画)は、譲ることのできない核心部分です。

10月12日、共同養育支援議連・幹事の谷川とむ議員(自民党)は、「「#共同養育計画」の作成の義務付などの法改正が必須であると考える」とXへの投稿で強調しています。

また、共同養育支援議連・幹事の嘉田由紀子議員も、今年6月22日、共同親権運動の集会で、「高葛藤の夫婦こそ、共同親権を義務化すべき」「虐待を受けている子どもにこそ、共同養育計画が大事」と訴えています。


柴山議員は、10月13日のXへの投稿でも、「全力で最適解を最短で求めていきます!」と発言しており、問題が明らかにならないうちに法改正を急ぐ姿勢を鮮明にしています。

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