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北村晴男弁護士、質問に答えられず ―「民間法制審」への疑問が次々と―

昨年12月20日、法制審議会家族法制部会にて、運動団体「民間法制審議会」の北村晴男弁護士が参考人として発言しました。
民間法制審の案は、「DVでも共同親権」「虐待でも面会交流」となっており、委員からは懸念の声が出されました。

20件以上の質問があったものの、北村弁護士が回答できない場面もあり、多くの疑問を残したまま、時間切れで打ち切りとなりました。

(そもそも民間法制審って何?という方は、こちらの記事をご覧ください)

DV・虐待についての懸念に、北村弁護士は答えられず

 民間法制審の案が「DVでも共同親権」「虐待でも面会交流」となっていることについて、委員からは以下のような疑問が出されました。

  • 児童虐待等で親権を剥奪された場合でも、面会交流をすることが子の利益になるのか?

  • 子の虐待など、不適切な養育をする人を監護者として認める規定があるが、それは危ないのではないか?

  • 親は子どもが大好きという前提で話が進んでいるが、親権放棄を認められなかった親との面会交流で、子どもは愛されているという感情を持てるのか?

  • 別居親が子どもとの面会交流途中に虐待して死亡させるというケースについては検討されているか?

これらの問いに、北村弁護士は答えることができませんでした。

一方、民間法制審のメンバーには家族法や民法の研究者がいないとの指摘があり、人選や検討経過についても質問がありました。
これに対し、北村弁護士は、短時間で人選をし、限られた日程で参加できる人にお願いしたと認めました。

以下、参考人質疑をQ&A形式でまとめました。
正確な議事録はこちらでご確認ください。


北村弁護士への質問と回答のまとめ

Q1.児童虐待等で親権を剥奪された場合でも、面会交流をすることが子の利益になるのか?
⇒回答できず

Q2.児童相談所における面会交流は、子の身体生命を保護するための十分な機能を有するのか?
⇒回答できず

Q3.共同監護計画の策定や遵守を拒んだとき、そのことのみで直ちに親権喪失の事由になるという前提か?
(北村弁護士)基本的には親権喪失の事由となる。そのことが監護計画を守る大きな動機付けとなる。

Q4.親権喪失でなければDVがあっても面会交流とある、日本では親権制限がごく例外的であり、親権喪失という前提は危険ではないか?
(北村弁護士)双方の親がお互いを監視するようになるので、親権喪失について申し立てが増える。そのことにより、不適切な事例で親権喪失が機能する社会状況になっていく。

Q5.紛争性が高く、当事者の一方が必死で離婚を希望している状況下では、健全な共同監護契約が立てられないのではないか?
(北村弁護士)その通りだ。費用を払ってでも弁護士が関与し、ADRを利用して共同監護計画を作っていくことが想定される。

Q6.夫婦の一方が子どもを置いて出ていった場合はどうなるのか?
(北村弁護士)暫定的な共同養育計画を作るべきだ。

Q7.子どもと面会したい意思がなければ、共同養育計画を作る意欲もなく、過料も親権喪失も痛手と感じないのではないか?
(北村弁護士)親権喪失の審判の申し立てをすることになる。

Q8.現在の民法の親権喪失の規定はそのまま残した上で、共同監護計画を作らない人、実行しない人も、さらに親権喪失の要件に当てはまるようにするということか?
(北村弁護士)その通りだ。

Q9.監護計画を作らないか守らない人は、現在の民法で規定されている、子の虐待など、不適切な養育をするような事例と同様に評価するということか?
(北村弁護士)その通りだ。

Q10.子の虐待など、不適切な養育をする人を監護者として認める規定があるが、それは危ないのではないか?
⇒回答できず

Q11.親は子どもが大好きという前提で話が進んでいるが、親権放棄を認められなかった親との面会交流で、子どもは愛されているという感情を持てるのか?
⇒回答できず

Q12.民間法制審のメンバーには、家族法や民法の研究者がいない。メンバーはどう選ばれて、どのような検討を経たのか?
(北村弁護士)短時間で人選をし、決まった日程に参加いただける方にお願いした。諸外国の状況について説明いただき議論した。

Q13.原則、親は子どもを虐待しないものだとか、原則、親子は愛し合っているものだというのは、どういう根拠で言っているのか?
(北村弁護士)少なくとも95%の離婚についてはDVが理由になっていないからだ。

Q14.離婚後に単独親権となる例外について、どのように考えているのか?
(北村弁護士)極めて限定的。子に対する暴力を振るうようなケース、それに準ずるケースが例外。

Q15.離婚すると全ての親子が断絶する、DVが5%に過ぎないと言っていたが養育費に関する設問ではないか?
(北村弁護士)月に1回2時間しか会えない場合も断絶に近い状態とみなす。(DVについては答えず)

Q16.共同監護計画に際し、ADRを義務化するとのことだが、一般市民がスムーズにADRを活用できると考えているのか?
(北村弁護士)共同監護計画の作成を義務付けることにより、ADRを活用せざるをえない状況になる。

Q17.親権喪失・停止など、すでに婚姻中に共同親権でなくなっている場合は、今回の提案が当てはまらないという理解でよいか?
(北村弁護士)その通り

Q18.監護の割合50%を基本とするとのことだが、単身赴任・転勤など、社会のあり方についての対応はどう考えているのか?
(北村弁護士)そこまで考えられていない。

Q20.別居親が子どもとの面会交流途中に虐待して死亡させるというケースについては検討されているか?
⇒回答できず

Q21.DVを一方が主張している場合、婦人相談所が子の受け渡しを実施するとしている。相談に行けなくなり、婦人相談所が機能しなくなるのではないか?
(北村弁護士)ヒアリングしていないが、受け渡しが可能な機関であると理解した。


ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

本件については、小魚さかなこ弁護士も、コメント付きでツイートしていますので、あわせてご覧ください。


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