見出し画像

【談話】離婚後共同親権制度の導入をはかる「民法等の一部を改正する法律案」の衆議院可決に強く抗議します。(日本婦人団体連合会)

4月17日、日本婦人団体連合会が「【談話】離婚後共同親権制度の導入をはかる「民法等の一部を改正する法律案」の衆議院可決に強く抗議します。」を発表しました。

" DV加害者による離婚・別居後の虐待のきっかけを作ることが懸念されます。DV被害者にとっては、離婚後も加害者から支配され命さえ脅かされかねません。DVや虐待事案を除外する方策が求められます。「父母の双方の合意がない場合には共同親権を認めない」を明記すべきです。"

談話・声明・要望など | 日本婦人団体連合会(婦団連) (fudanren.biz)


(談話)
離婚後共同親権制度の導入をはかる「民法等の一部を改正する法律案」の衆議院可決に強く抗議します。

2024年4月17日 
日本婦人団体連合会
会長 柴田真佐子

 2024年4月16日、衆議院本会議において、離婚後共同親権の民法改定案を自民、公明、立憲民主、維新の会が共同提出した修正を加え賛成多数で可決しました。
 離婚後の親権の在り方を77年ぶりに見直すにあたり、その内容が国民に充分に知らされず、国民の議論がないまま、衆議院において拙速に可決したことに強く抗議します。
 条文には、子どもの意見表明権が明記されていません。子どもの権利条約に則り、子どもの幸せを最優先にするために、子どもの意思・心情を尊重することが求められます。
 「親権」の文言は、「親の子に対する権利」という認識が色濃く残るものです。「離婚後共同親権」が導入されれば、子どもの進学や就職、医療、居所などについて、常に連絡と同意が求められます。「急迫の事情」の場合は単独行使ができるとしていますが、解釈の違いが生じた場合は紛争となります。また、「急迫の事情」について何がそれにあたるのかが明確になっていません。
 今回の修正では、附則で、親権の在り方を決める際、父母の力関係の差で不適切な合意とならないよう「真意を確認する措置を検討する」としていますが、これでは不十分です。裁判所によって当事者に不本意な「共同親権」が強制され、一方の親と子どもの利益が害される懸念があります。
 父母が合意できない場合には家庭裁判所が判断する仕組みですが、現状は人的にも物的にも体制が極めて不十分です。制度を導入する土台が整っていない中で法案を採決した責任は重大です。
 DV加害者による離婚・別居後の虐待のきっかけを作ることが懸念されます。DV被害者にとっては、離婚後も加害者から支配され命さえ脅かされかねません。DVや虐待事案を除外する方策が求められます。「父母の双方の合意がない場合には共同親権を認めない」を明記すべきです。
 多くの論点や懸念を残したまま拙速に「離婚後共同親権制度」の導入を図る民法改定案を認めることはできません。
 参議院では、子どもの最善の利益が守られ、当事者の深刻な懸念に応える徹底した審議を尽くすことを求めます。


なお、離婚後共同親権に関する声明などは、こちらにまとめています。


よろしければサポートお願いします。 共同親権問題について、情報収集・発信の活動費として活用させていただきます。