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駒崎弘樹氏「大変やばい法律が国民がほとんど知らない間に進められている」 ―共同親権問題―

6月12日、ニッポン放送の番組「飯田浩司のOK!Cozy up!」が、離婚後共同親権について取り上げました。
コメンテーターの駒崎弘樹氏は、「大変やばい法律が国民がほとんど知らない間に進められている」と述べ、離婚後共同親権の危険性を訴えました。

ざっくりまとめ

  • 親権とは、子の重要事項を決定できる権利。どこに住むかも別居親が口出しできる。

  • DVの場合、どこに住んでいるかわかり続けるのは恐怖以外の何物でもない。

  • 審議会の有識者は、「べき論」で話を進めているが、現実には修羅場がたくさんある。

  • 日本はDV保護の法制が極めて貧弱。共同親権なんて導入しちゃいけない。

音声はYouTubeから

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共同親権 裁判所の判断で 父母の合意なしでの適用も議論

離婚後も父親と母親がともに親権を持つ共同親権の導入について、法務省は今月6日、裁判で離婚する両親の間で意見が対立した場合、裁判所が単独親権か共同親権かを決定できるようにする制度案を、法制審議会の家族法制部会に示しました。

(飯田浩司)
この共同親権についてというのはね、駒崎さん、様々、発信されていらっしゃいます。
まず、いろんな案が出てきてますけれども、これどう見たらいいですか?

(駒崎弘樹)
はい、一言で言いますと、大変やばい法律が国民がほとんど知らない間に進められているというふうに言っていいと思います。

そもそも離婚後共同親権っていうのは何かと言いますと、結婚してるときに父母は両方とも親権を持つんですね。結婚してる間、共同親権です。しかし、離婚した後は、どちらかの親御さん、より子育てをしている方の親御さんに親権が付与されるっていう、離婚後は単独親権という制度になってるんですね、今は。
これを、離婚後も共同親権にしたらいいんじゃないの、ということを言ってるんですね。

親権って何かっていうと、その子の重要事項を決定できる権利なんですけど、例えば、どこの学校に行くか、どんな医療を受けさせるか、どこに住むかなど決めることができるんですけど、別れた後の親が、その子がどこの学校に行くか、どこに住むかということに口を出せるという制度になります。
そうすると、別れても別れられないというふうになるので…

(飯田浩司)
住んでる場所も分かっちゃう?

(駒崎弘樹)
住んでる場所も分かる。で、仲が良ければいいですよ、仲がよければ。ものすごく仲が悪いとか、あるいは夫側がすごいDV気質である、DVをしていたという場合、どこに住んでるか分かり続けるっていう、これは恐怖以外の何物でもないですよね。

でも、審議会、有識者たちは、「いや父親もね、子育てに参画できるようになってきてるんだから両方ともにね、親権あった方がいいですよね」みたいな感じで、「べき論」で話を進めてるんですけどでも、実際はそういうわけではなくてですね、もっともっと修羅場がたくさんあって、かつ、DVっていうのは日本だとものすごく被害者が弱い。DVを受けて何が今起きてるかっていうと、諸外国ではDV加害者が逮捕されたりとか、捕まえられる。当たり前ですよね、DVしてる方が。でも日本だと違うんですよ。日本だと「被害者がまず逃げてください」っていう、加害者を捕まえる前に被害者が逃げなきゃいけないという状況。つまりDV保護の法制が極めて脆弱なんですね。

(飯田浩司?)
逃げるっていう事実がないと、逮捕だとかまで深刻だってところまで行かないと。

(駒崎弘樹)
一応、接近禁止令と言って、近づかないでくださいよとかっていうふうにはするんですけれども、でも、弱いんです。別に近づいたとしても、速攻、捕まえられるわけではなかったりとか。
そもそもDV認定のハードルが高くてですね、例えば我々のところに相談に来たケース でもハサミを持ってお前ぶっ殺すからなっていうふうに言われて、じゃあこれDVで認められるかって認められないんですね。
なぜならばぶっ殺されてないし、ハサミで傷つけられてないから、「証拠がないですね」ということで、これはDVでありません、というふうに言われていました。1回被害を受けないと 、あるいはボコボコにされないとなかなか認定されないというのが、日本のDVの現状なんですね。

そういったことをよく知られてないので、「べき論」で「まあいいんじゃないですか、両親が両方とも子育てして親権持って別れた後もね、親は親ですしねぇ」みたいな感じで言うんですけど、いや違うからと。
いろんな親御さんがいて、子どもと引き離さなきゃいけない親御さんだっているんですよと。現に我々のところは、そういうケースばかり支援してきてるわけですから。なので、単純に共同親権すればいいなんてことはなくて、もし共同親権するんだったら本当にDV法制はめちゃくちゃ強くして、まずい親は子どもからすぐ引き離されるようにするということをした上じゃないと、怖くて共同親権なんて導入しちゃいけないんですよね。

しかも、そもそも親権って言葉って、実は世界的にはもうあまり使われなくなってきてて、なぜならば親権っていうと親の権利みたいな権利性が前に出るじゃないですか。でも、例えば、諸外国だと親の配慮義務とか親責任って言葉に変えているんですね。
責任性の方が前だよね。「だって、親の権利よりも子どもが幸せかどうか、子どもの権利の方が重要じゃん」っていうふうに、子どもの権利、子どもを最善にしていきましょうっていうふうに変わってきてるのに、今、日本で「いや、親権を」とかっていうのって、1周遅れも甚だしい議論をしてる。
そういう意味でこれ国民生活にものすごい関係ある。だって今、日本の3人に1人が離婚するというふうに言われてるところで、国民がほとんど知らない間にこういうめちゃくちゃ 重要な制度改正がなされようとしてるというのは危険以外の何物でもない。法務省は入管の議論でもそうですけど、本当に今、隠蔽していろんなものを議論を進めてしまう癖があるのでこれ何とかしなきゃいけないと思います。

(飯田泰之 )
これは親権じゃなくて 扶養なんとか責任義務っていう名前に変えた途端に、じゃあいいです、結構、出そうな気がするんですけどね。

(駒崎弘樹)
そう、親権って言うからみんな勘違いしてるんですけど、むしろ責任とか義務の方が大きいですよと。

(‪‬‬飯田泰之)
確かに子育てしてみると、目の前の子は俺がなんとかしないと死んじゃうわけですね。これはもう責任というかね、何もでもないと。で、一個、思うのが、今、その離婚も単独親権だと。便宜上、親権という言葉使いますけれども、親権を付与されるのはやっぱりそこまでの家庭生活、子育て生活において、主としてコミットした人がやっぱり親権を受けるという形ですね。

(駒崎弘樹)
いやなんか離婚後はね、母親しか親権持てないじゃないか不平等だ!とかっていう男性の方、結構多いんですけれども、そうじゃなくて裁判所は主たる監護者、つまり主に子育てしてきてる人に親権を付与しますっていうルールになってるから。
日本の場合、9割が母親なんですよね。父親が子育てしてきてなかったって裏返しなので、だったら子育てしようよ、世の男性達っていうだけの話なので、そういう意味では、ちゃんと子育てしておけば離婚後も親権を付与される可能性は高まりますので、それはもう父親がちゃんと子育てしましょうということの一言です。

(‪‬‬飯田泰之)
なるほど。そこは裁判所は恣意的に決めてるとかそういうのもなく、女性の主張だけを聞いてるんだ、ではなく。

(飯田浩司)
共同親権についてスクープアップでありました。


ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
最後に、駒崎氏のnoteより、共同親権の関連記事を紹介しておきます。

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