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映画ガリレオ『沈黙のパレード』を観てほしい話

映画ガリレオ『沈黙のパレード』を観て以来、仕事をしていても、家事をしていても、いろいろしていても、ふと頭の中に「ヒトツボシ」(『沈黙のパレード』主題歌)が流れはじめる。

映画公開後の9月22日にフジテレビで放送された番組「タビフクヤマ」で、この曲の弾き語りを聞いた北村一輝さんのコメント、「もしましゃ様が福山雅治というこのフォルムがなかったらもっと天才だと言われてるなと思う」が、まさに自分がこの曲から受けた衝撃をぴったり表している。

そして、映画『沈黙のパレード』そのものにも似た体感がある。

ガリレオに連なるもの

前提として、自分は福山さんファンだ。BROS.(福山さんの公式ファンクラブ)会員だ。そのきっかけがドラマ『ガリレオ』シリーズ1だった。もともと小説好きだったので原作にも興味を持ち、原作の『ガリレオ』シリーズもすべて買って追いかけるようになった。

そのため『沈黙のパレード』は原作から入ったが、当時はそれを映像として見ることができるとは想像していなかった。ただ、この作品にとって絶対に無視できない過去であり、映画化もされた『容疑者Xの献身』における大きな苦悩と年月の経過をたしかに感じさせる現在が、自然にあるものとして表現されていて、それが切なく嬉しかった。

この物語はすっきりと語れるものではない。被害者も加害者もそこに関わる人たちも、100%の善でも100%の悪でもなく、愛とは美しくもあり醜くもあり、重厚でもあり軽薄でもあり、人は愛ゆえに正しいこともすれば間違ったこともするけれど、そもそもその正しさとはなんなのかという、割り切れない現実が表現されながらも創作として楽しめる世界。

そして、そういった世界でやはり湯川学という人は特異な存在であり、一方でたしかにその世界の住人であるという、そんな読後感が自分にはあった。この作品に限らず、『容疑者Xの献身』も『真夏の方程式』も、映画化はされていないが『聖女の救済』も、ガリレオシリーズの長編はすべて共通するこの感覚があるが、『沈黙のパレード』は特にそれが強いかもしれない。

映画化、すごいなあ

『沈黙のパレード』が映画化されると知ったとき、ファンとしては「福山さんが演じるあの湯川先生にまた会える!」と喜んだ一方で、「あの原作をどう映画化するんだろう?」という不安もゼロではなかった。どっちにしろ自分は楽しむだろうけど、無責任な「世間」にディスられるのを見るのは嫌だなあと、勝手な心配もちょっとだけした。結果、杞憂だったけれど。

2時間という映画の枠に収める上で、端折られているところはもちろんあった。できれば原作を読んだほうが、あの人物やその人物がどうしてあんなそ行動やそんな行動をとったのかもっと分かりやすいかもしれない。

けれども、それを上回る映像ならではの説得力があり、絶対に端折れない要所は端的かつ際立たって配置されたうえで、一人たりとも違和感のないこの人はここしかあり得ないという配役と演技で、全体として創作として楽しく興味深い作品で、一言でいえば「なんかすごかった」。

最近は1時間番組ですら集中して見ることが減っているのに、2時間をそれと感じさせない、なんなら4時間でも観ていられそうな作品だった。

ヒトツボシとガリレオ

ガリレオというとどうしても「福山が演じる湯川」のイメージが先行するけれど、一度それを抜きに観てみたかった、そして観てほしい、けれど「福山が演じる湯川」がいたからここまでになったのだろうという、矛盾する面白さもある。それがヒトツボシについての感想と共通する。

また、ここまでの時間の中で育まれてきた湯川・草薙・内海(とそれを演じるお三方および制作陣)の関係性があってこそ作品が成り立っているのが、ガリレオシリーズのファンとして嬉しい。ここに連なる過去があることが、映画でもきちんと示されていて嬉しかった。

そしてなによりやはり、ファンとしては、福山さんはつくづくかっこいいなあと画面に見惚れたことも正直に言っておく。そして別ベクトルで、北村さんも柴咲さんもそれぞれにとてもかっこよかった。

(映画の話からはずれるが、湯川先生(福山雅治)はあまり外見が変わらないように見えて、年月とともにどんどん深みが出ているので、それをドラマ開始当初のイケメン天才物理学者と美人若手刑事のテンプレに当てはめるのは少し無理があるのではと思ったりもしている)

公式情報

とにもかくにも、ドラマ・映画・原作のガリレオシリーズが好きな方はもちろん、そうじゃないいろんな人にもどんどん観ていただいきたい、感想を聞きたい映画だなと思いました。自分は絶対もう一回観に行くと思う。できれば何回かおかわりしに行きたい。

【追記】結局ブルーレイまで買った。とてもお得な内容だった。


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