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都響✖️ヴィトのポーランド音楽

今夜はわたしの2023都響聴き納め!
サントリーホールでの第990回定期です。

ポーランド🇵🇱のマエストロ、アントニ・ヴィトの登場!
そう、ポーランドといえば、先日衝撃の4K『戦場のピアニスト』を映画館で体感したばかり。

というわけでもぅ胸アツで出かけました。

そしてなんと今日のプログラムの幕開けは、その『戦場のピアニスト』の音楽を担当した作曲家キラールによる『前奏曲とクリスマス・キャロル』。

これが実に繊細な空間が立ち昇る作品で、弦楽と4人のオーボエで演奏される研ぎ澄まされた音楽。緊張感の中にも、距離を置いて配置されたオーボエの呼び交わしが、どくとくな柔らかさも感じさせる。聴けてよかった...

マエストロ・ヴィトがさらに渾身のタクトを振るったのは、後半のペンデレツキ、交響曲第2番「クリスマス・シンフォニー」。

キラールもそうだけど、「クリスマス」とオーケストラ曲のタイトルにあると、勝手にほっこり感を期待しそうになるけど、そんなんじゃない。

かといって、このシンフォニーはペンデレツキの『広島の...』とか、鮮烈なクラスター的音響に染まる音楽でもない。
全体にアンダーな色調のまま、多様な旋律的、和声的な断片、音楽的出来事が次々と織りなされ、膨らみ、萎み、うねり、圧巻のドラマを単一楽章で形成していく作品。時折り響く「きよしこの夜」の断片がなんとも心に哀しく鋭く刺さる。
ヴィトはしかし、暗過ぎず、厳し過ぎず、明快でどこか爽やかな抒情性をもって、都響を鳴らし切ってくれました!凄かった!
ふぅ。


前半の二曲目の協奏曲は、メモリアルイヤーのラフマニノフ。1番はルガンスキーが7、8日にやりましたが、今夜は2番を反田恭平さんのソロで。
この演奏がまた面白くて。当たり前には流麗にならない。ところどころ、オケもピアノもゴツゴツとモチーフを立たせたりしながら、そんな対旋律的もあったのね、と気付かせてくれたり。
反田さんはやっぱり指揮者としての視点も生かし始めてると感じました。1楽章の展開部の後半などは、ガンガンに「こう行きたい!」というのをヴィトにもオケにも伝えてるのがわかった。それから、朗々とオケが旋律を歌う場面で、ピアノの伴奏的な音をかなり鳴らしていたのだけど、ああこれは、ピアノ音楽の右手をオケが、左手を反田さんが全力でやってる、そういうメタ的なピアニスティックな音楽を形成されているんだな、と感じた瞬間があって、ゾクっときました。

そしてヴィトは、ものすごーーーく息の長いラフマニノフのフレーズ感を繋げ切る大陸的音楽をやってくれました。

というわけで、今夜の都響のダイナミックレンジは激しかった!すごいもの聴いちゃった感満載で、都響聴き納め、大感謝です。

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