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本棚:『醤油と洋食』

明治ももう四十年も過ぎた東京。麻布にある江戸時代から続く料亭「鈴川」のひとり娘の八重は女子大生。同級生の虎姫や雫とのやり取りや、「鈴川」の板前の洋一郎との恋にキュンとします。

私がイメージする洋食とは違って、明治だと、あれもこれも洋食になるのかと新鮮でした。きっと八重たちが今の時代にタイムトリップしたら、同じ日本とは思えないだろうなぁ。はたして彼女たちから羨まれるような未来になっているといいのですが。
洋一郎とハンカチ抜きで手をつないで歩いて、その衝撃で記憶が飛んでしまった八重。なんとも微笑ましいですが、そういえば中学の頃は文化祭だったか体育祭だったか忘れましたが、後夜祭でキャンプファイヤーを囲んでフォークダンスがあって、手が触れるのにドキドキしたっけなぁと思い出しました。そして、手が触れるって今の時代でも特別な気はします。
明治が舞台の作品はこれまでほとんど読んだことがないように思います。不便や不自由はあっただろうけど、八重たちは楽しそうで、いい時代だったんだろうなと勝手に想像しました。
ちなみに洋一郎のセリフで「自分で走り回って料理を整えるからご馳走っていう漢字なんです」というのがあります。なるほど~と思うとともに、ご馳走ってお金をかけることではないんだなと思いました。


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